短編小説
□迷子の迷子の子猫ちゃん(TRICK)
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飼い猫が迷子になった。居場所は知っているけれど。
どうせ道に迷って、訳も分からない島にたどり着いたのだろうことは嫌でもわかる。
(思い返せば―――)
言葉よりも食べ物の方が話が早いから、主導権は大抵こちらにあった。
逃げて欲しくない、と思い始めた頃にはなかなかになついてくれたし、名前を呼べば嫌そうな顔をしながらも側に来てくれた。
でも、
(こんなに手懐けても突然いなくなるのは止められないなんてな)
逃れようもない習性なのか
自分が不甲斐ないだけか
それでもいい加減分かって欲しい、と思う。
迷子の迷子の貧乳女、
君のお家はここだって。
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奈緒子=猫 ってデフォな気がする