短編小説

□11(TRICK)
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「もうすぐ11年か」
「さすがにここまでくると清々しい気分です」
「だろ、何か11にちなんだことやらないか」
「いや別に祝うようなことじゃない気が」
「細かいことは気にするな、…よしポッキーでも食べるか!」
「なんでだ、すき焼きの方がいいです」
「フン、まぁ良いだろう、ポッキーは11月の大切な年中行事だからな」
「だからポッキーは年中行事じゃないって」
「じゃあ何するんだ」
「何もしなくていいじゃん」
「まあ言ってしまえば腐れ縁だ、本来祝うべきことではないかもしれない。…だがYOUよく考えてみろ、11年だぞ11年」
「はぁ」
「いくら腐れ縁とはいえ11年も続くのには理由があると思うんだ」
「お前がしつこく会いに来るからだろっ」
「っ、バカ言うな!逆じゃないのか」
「そんなわけあるか!上田さん頭おかしくなりました?いつも以上に」
「いや、事実一年程前から君は焼き肉よりすき焼きを所望するようになった」
「…しょ、しょもーって何ですか」
「しょーもない嘘つくのは辞めなさい」
「……。嘘じゃない、それに…ただ単にすき焼きが珍しかっただけですよ」
「しょもー、わかってるじゃないか」
「……」
「……」
「…くるくる」
「くるくるってこのじゃじゃ馬が、くるくるパーがっ!!」
「なんだとこのバカうえおおっ!?」
「………………もうやめないか、色々」

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