小説

□バニラ味(10000HIT記念、まーみん様リク)
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「上田さん」
「なんだ」
「さっきからなんなんですか」
「‥‥」
「上田」
「なんだ」
「っ、だから!何回ちょっかい出したら気がすむんだ!」
ソファーの真ん中を陣取った奈緒子が怒鳴る。
上田はその隣に縮こまりながらカーディガンの裾をつまんでいる。

「見てわかるだろ。今、手品のタネづくりで忙しいんです」
「君こそ見てわからないのか。今、俺が何をしたいか」
「わかりたくないです。」
「例えるなら、とろけるようで‥」
「わかりたくないってば!」
「それで…ほら、何かこう甘々な」
「…わかりました上田さん」
「そ、そうか!YOU…!!」
「アイス買ってこい。スーパーカップな」
「‥違う!」










「ったくガリガリ君ならいくらでもあるのに」
「わ、びっくりした。ガリガリ君はいい加減飽きました」
「ほらよ。土下座して拝め」
「え、お前どっか行ってたのか」
「コンビニ」
「…これ買いに?」
「……………悪いか」
上田はそっぽをむく。
私はなんだか火照りはじめた身体を冷ますためにさっそくアイスを食べる。
「………」
「………」
「………」
「………」
「…………甘い」
「よかったな」
「こと」
「?」
「したいって、上田さん」
「――っ、…ああ」
「何がしたいんですか」
「え…と、その…、恋人どうしの」
「早くいえ3秒以内」
「あっ、あー…アイス!……食べさせてくれ。」








「……」
「……」
スプーンに乗ったアイスを挟んで、奈緒子と上田はしばし見つめ合―――いや、睨みあっていた。
「……あーん」
「あーん!」
合図と同時によし、と言われた犬のごとく上田はアイスに飛びつく。
「あの、あーんて毎回言わないと」
「駄目だ!」
「はいはい、わかりましたよ」
「YOU、"はい"は一回‥むぐ」
くり返される恋人どうしのやりとり。雰囲気も甘ければアイスも甘い。
おまけに、こいつは私に甘くなった。それが妙にくすぐったい。
「はい、あーー」
ん、と同時に上田へ向かっていた最後の一口を自分の口に放り込んだ。
「エヘヘへ!」
「な…貴様っ!」
上田が身を乗り出してくる。
私も見計らって身を乗り出す。
たぶん「次は俺の番だろ!」と続く筈だった言葉は、途中で途切れた。
「――っ!」
「…………」
「…………」
「…………」
「………おぅ」
「……えへへ」
私だって、相当こいつに甘くなったのかもしれない。
というよりは――、
「"恋人"としてあたりまえ、かも」

それは、とてもとても嬉しい"事実"。







「そうだな、恋人どうしとしてあたりまえのこと、しようか」
「…は?」

何でそう発展させるんだ!
年中無休でお花畑な恋人に、まだまだ悩みの種は尽きないけれど。

「よ、よしYOU…!!」
「成敗っ!!」

悩み以外にも、尽きないものはたくさんある。

「……またアイス買ってもらおーっと」
股間を押さえたまま気絶した大男を見ながら、手品師はさも楽しそうに笑った。



――――――――――――――

甘々ってこうですかわかりません/(^O^)\

お待たせしてすみませんでした(汗)最後の方は甘くなるよう奈緒子に頑張ってもらったんですが(言い訳)

こんなもので良ければ貰ってやって下さい…!

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