東京都青少年健全育成条例とは、そもそも何ぞや? という方も多いと思います。
これは、いわゆる「青少年保護条例」。十八歳未満に対して、極端に性的だったり残虐だったりする描写がある本や映像を見せてはいけないだとか、風俗に勧誘してはいけないだとか、そういう条例ですね。

わたしは十九歳で、東京都民ではありません。風俗業界にもメディア関係にも繋がりはありません。あえていうなら本が好き、くらい。
そのわたしにとって、どうして東京都青少年健全育成条例の改正が問題なのか。
そこが、このホームページで一番伝えたいことなんです。


さて、主な改正内容。
長いです。携帯だと読みにくいかもしれません。ごめんなさい、でも頑張って読んでみてください。


架空の青少年に対する性行為描写の規制

つまり、これまでは規制されていなかった、漫画とかアニメとか小説とか、実際には性行為をされた子がいないメディアのなかの、十八歳未満に対する性行為でも規制をかけよう、ということです。
ちなみに、架空の青少年(非実在青少年なる呼び方をします)の定義とは、背景や服装、外見から十八歳未満に見えるもの。学校や制服があればともかく、街中で私服の子が十八歳未満に見えるかどうかなんて、誰が決めるっちゅうんでしょうか。わたしなんかいまだに中学生とか、下手をすれば小学生にまで間違われますが、つまりわたしみたいなのを描いて十九だと主張するのはダメってことかしらん?


青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するメディアの規制

まず、性に関する健全な判断能力ってのは、特に十八歳未満ではかなり幅がありますよね。小学生も中学生も高校生もみんな一緒って乱暴すぎやしませんか?

少し話が飛びますが、ヨーロッパ(欧米ひっくるめて、かな)地域は、日本より性的な面で奔放というイメージが強いと思います。
でも、当たり前ですが地域差はすごく大きい。
北欧、スウェーデンなどでは比較的オープンで、そのぶん性教育もきちんと行われています。一方、カトリックの多い南欧などでは、性的な話題にはタブー感が強く、性教育も盛んではありません。
結果、避妊やセーフセッ×ス(まじめな話なのに失礼。サーバーの規制にひっかかってしまうので)の知識がないために若い女性が妊娠したり、厳格な教育の反動で奔放な行動にはしったり、という事例も多く、日本でのイメージはむしろそういった地域の影響が大きいのかもしれない、という分析もあります。

つまり、大事なのって正しい性教育であって、性的な情報の封じ込めじゃあないんじゃないかな、というのがわたしの意見。
十九の学生の主張のどれだけの説得力があるのかなんてわかりませんし、いろんな意見があると思います。
ですが、もうひとつつけくわえるなら、わたしの小学校時代の通学路には、山の中だからか、よくエロ本が不法投棄されていましたし、小学生が集団で興味津々でそれを見ていたりしました。それによって健全な判断能力の成長が阻害されたとは思っていません。そういうことに興味があるのって、子供ならむしろ健全なんじゃありませんかね。


メディア関係者と都民・保護者に対して自主規制や関係施策への協力義務

つまり、

メディアやその流通業者は、そういったものを自主規制するか、青少年の目に触れないよう一層努力すること。
都民は児童ポルノを所持せず、また、この条例に関係する施策に協力すること。
保護者は子供に対して、子供がエロ本だとか、または最初に書いた子供が性的対象となる本だとかを読まないように監督すること。

ちゅーようなことですね。
児童ポルノの単純所持禁止は、国会でも審議されました。日本から児童ポルノ画像がネット経由で流出しているという非難は国際的に結構高いので、その点はまあともかく。
保護者が子供に何読ませるかなんて、保護者の勝手でしょう。エロ本勧める親はあんまりいないとおもいますけども、子供の生活の隅々まで見張ってたら子供キレちゃうよ。

一番怖いのが、メディアが自主規制ムードに流れちゃうこと。
映像業界に先例があります。それが放送禁止用語。A級禁止用語はもちろん禁止なんだけど、それよりランクが低い言葉も流れに影響がなければできる限り避けちゃうんです。禁止用語リストって変なの載ってて、床屋も魚屋もダメ。 で、映画の字幕翻訳とか、たとえば「白痴」ってあの有名なタイトルの扱いで揉めたりしちゃう。白痴って差別的に使われるから禁止用語なんですね。
普通に考えたら常識の遥か彼方にあるような話なんですが、結局メディア規制が行き着く先ってそういうところになっちゃうと思うんです。だって商売だし、出してから規制されたら損失になっちゃうから。


携帯・インターネットのフィルタリング推奨と保護者の責務

フィルタリングを推奨するのはいいんです。
でも、携帯のフィルタリングを解除するのに、保護者が理由を届け出なきゃならないのはどうして?
わたしはフィルタリング自体に反対です。
携帯ホームページやブログの大手無料サーバーのほとんどはフィルタリングから除外されています。無料サーバーの収入は広告が多いです。そして、その広告には、一見普通の無料占いなどからメールアドレスを送信させて出会い系などの広告メールを送るといった、巧妙な手口の悪質業者もよくあります。また、そういったサーバーに騙しページを作る業者も多く、フィルタリングはあまり意味をなしていません。
それに、携帯やインターネットの適切な使い方を教えることこそが保護者の役割のはず。フィルタリングでとりあえず規制をする、それで安心しておしまい、なんて本末転倒もいいところです。



ざっとこんな感じ。
で、これがなぜ他県民に関係するのか、ですが。

まず、地理の授業で習ったと思いますが(そんなもん忘れたかな)出版業、IT産業などは東京に集中しています。その流通関係も然り。
つまり、東京で規制されてしまえば影響は全国に及びます。

加えて、東京都の条例は全国的に影響が大きく、東京にならって条例を制定・改正する自治体は結構多いのです。
日本には、一度ひとつの方向に動き出すと、皆が右ならえしてしまう空気があります。この条例が可決されれば、最終的に国の法律まで変わってしまいかねない。そうなってからでは遅すぎます。

エロ本なんて読まないから、という人も、考えてほしいんです。
もし極端な規制や自主規制がかかってしまったら?
あなたの読む本や漫画、あなたの好きな映画に、暴力シーンはありませんか? いじめも、性行為も、武器も?

アメリカでは、似たような法律がある州において日本の少年漫画が翻訳された際、
・咥え煙草がチュッパチャップスに
・武器はすべてギャグ漫画のごとき当たり障りないものに
・女性の胸の谷間は消す
といった修正が施されたそうです。

この規制の行き着く先が、武器ダメ煙草ダメお酒ダメ谷間ダメ、いじめ暴力セッ×スみんなダメ、にならないなんて言えますか?
規制自体が極端だと思います。極端なんだから、もっと極端になっても不思議じゃない。
表現の自由がすべてに優先してしまうのもあってはならなことですけれど、いきすぎた規制もやっぱりあってはならないことだと思うんです。

少しでも多くの人に考えてほしい、伝えてほしい。そう思っています。

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ