短編集

僕の心は君のもの
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「…よし、出来た!」



翌朝、早起きして、名前ちゃんにあげるお弁当を作った。

我ながら素晴らしい出来だと思う。

これなら、名前ちゃんも満足してくれるよね!



「昼休みが楽しみだなぁ…」



ウキウキしながらお弁当を包むと、名前ちゃんに昼休みに屋上に来るようにメールして、僕は家を出た。



















そして昼休み。
僕は誰もいない屋上で一人、名前ちゃんが来るのを待っていた。



「遅いなぁ…」



10分程待ってるけど、彼女はなかなか来てくれない。

おかしいなぁ…メール見てないのかな…。
それとも授業が長引いてるのかな…。






うーん…Aクラスまで迎えに行った方がいいかな…?

と、僕が迷っていると。



ギィィ…



屋上の扉が開いた。
きっと名前ちゃんだ!

やっと来てくれたんだ!



「名前ちゃん!遅かったね!僕ずっと待ってたんだよ!」



僕はすぐに名前ちゃんの元へ駆け寄った。




「………え?」

「吉井君……」

「……………」



だけど、そこから現れたのは名前ちゃんじゃなくて…



「な、なんで……」



名前ちゃんと同じクラスの、木下さんと久保君だった。



「なんで二人がここに…」

「…名前に頼まれたのよ」

「名前ちゃんに…?も、もしかして名前ちゃんに何かあったの!?」

「ち、違うよ吉井君!少し落ち着いて…」

「落ち着いて!?何を言ってるの久保君!名前ちゃんに何かあったら僕はっ…」

「いい加減にしなさいよ吉井!!」



僕が久保君につかみ掛からん勢いで詰め寄っていると、木下さんに思い切り怒鳴られてしまった。

ど、どうして僕が怒鳴られてるんだ!?



「な、何を怒ってるの木下さん!」

「怒るに決まってるでしょ!毎日毎日名前に電話やメールして…!名前の迷惑考えなさいよ!」

「迷惑って…!そんな、僕はただっ…」

「迷惑以外なんだっていうの!?名前はアンタに怯えてるっていうのに!」

「怯えてる!?ど、どうして!?どうして彼氏の僕に怯えるのさ!」

「彼氏?笑わせないで!アンタはただの…」

「や、やめるんだ木下さん!」





















「アンタは名前の彼氏じゃない!ただのストーカーよ!!」







…………え?




「おかしいと思わなかったわけ?名前が頑なにアンタを拒絶していたことに!」

「…名字さんは、君に怯えている。君から連絡が来るだけで泣いてしまう程に」



この二人は、何を言ってるんだ?



「僕達がここに来た理由は、吉井君に、彼女を諦めるよう説得するためなんだよ」

「名前は吉井を好きになることはないわ。だからもう名前に纏わり付かないで」



名前ちゃんが、僕に怯えてる?

そんな、はずない。



「ちょっと、聞いてるの吉井!」

「………サイ…」

「はぁ?聞こえないわよ!もっとはっきり…」

「…!木下さん危ない!」

「えっ…?」



「ウルサイッ!ダマレ!!」

















『…翔子…二人とも、大丈夫かな……』

「………大丈夫。久保も一緒だから」

『そう、だよね…』

「………うん。…?雄二から、電話が…」

『坂本君から?いいよ、出て』

「……うん。もしもし…どうしたの、雄二。…今?体育館倉庫に名前と隠れてる。……え……う、そ………」

『…翔子?』

「……優子と久保が…屋上から、グラウンドに落ちてきたって……」

『………え……?』

「………二人とも…死んでる…って……」

『………!そ、んな……!…ひっ…』

「…名前の携帯…鳴ってる…!」

『よ、吉井君からメールだ…。どうしよう翔子…!わ、私…!』

「…落ち着いて。今、雄二がこっちに向かってる。とりあえず、メール確認してみよう?」

『う、うん…。………』

「………見せて。………今、君に会いに行く…?」

『会いに行くって…場所なんかわかるわけ…』



ドンドンドンドン!



『…っ!!』

「名前!」

『しょ、翔子…!』

「大丈夫…私が絶対守るから…!」



ドンドンドン…ガンッ!



「っ…名前に近づかないで!!」

『!やめて翔子ぉ!』



ザシュッ!



「っ!げほっ…!」

『翔子!いや、いやぁあ!!』

「名前ちゃん……」

『や、やだ吉井君!いや、いやぁ!』

「…ヤっと…見ィつケタ…」

『いやぁあぁぁぁ!!』












僕の心は君のもの






コレからハ、ズッと一緒だヨ


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