短編集
□第一印象
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§第一印象
「ねぇ##NAME2##、」
神の話はいつも急だ。
『ねぇ』で始まったり、『例えば』で始まったり。
神が頭良いのは知ってるから、せめて一般人にわかるようにしてほしい。
「何?」
「俺の第一印象、何?」
「…は?」
神は話題も唐突。
着いていけない。
「だから、第一印象だよ。ファーストインプレッション。」
ほら、また。
本当に脳みそなのかしら。
「……すごい名字だな。」
「じゃあ、見た目は?」
「背が高いな…」
「だよね。……あとは?」
「目が大きいな…」
「他には?」
「そ、そんなの覚えてないよ!」
なんでこんな誘導尋問みたいなのよ。これじゃ、緊張しちゃって言いたいことも言えない。
「えー、じゃあ今は?」
「……頭いいな…。」
「で?」
「バスケ上手いな。」
「他には?」
「他?……もうないわよ。」
「えぇ〜……じゃあさ、良い印象と悪いの、どっちが大きい?」
「良い……かな。大体、神を悪く思ってる人なんているの?」
「案外ね。」
「……ふーん。で、なんだったのよ、この誘導尋問。」
これで何となくとか言ったら、耳もいでやる!
でも、なんでこんな唐突に?
もし私が神だったら……人の第一印象が気になるときってなんだろう?
「俺のね、##NAME2##の第一印象は、小さいな。」
「小さいなって!」
「黙って聞いて。」
「っ………。」
「あとは、髪の毛気持ちよさそうだなぁとか、実際は別として、頭良さそうだなぁとか……」
もぐ!決めた、もぐ!
人に聞いといて、今度は黙れ……しかも自分は喋り続ける。
なんだこいつは。
「………」
そーと手を伸ばして、耳を目指す。
「黙っててよ。」
耳をもごうと伸ばした手を掬われる。
「これから良いところなんだからさ。」
そのまま、ぎゅっと握りしめられて、
「続けるね。」
目の前には微笑む神。
え、何このシチュエーション……
まるで……
「今はね、」
告白される
「りちが」
みたい
「好きだよ。」
第一印象
「……りちは?」
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