短編集
□青と赤の間で
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§青と赤の間で
「マルコーーーーー!!」
血を流しながら、崩れ落ちるマルコに手をのばす。
―――が届かない。
つきまとう敵を焼き払いながら、確実に近づいてはいるが、彼からの次の斬撃を防ぐのには遠すぎる。
たまたま相手が悪かった。
こんなちっぽけな海賊団に、覇気使いがいるなんて誰が考えただろう。
こんなこと言ったら、親父に殺されそうだが、俺たちは油断していた。
負けるはずがない。 と
しかしここは大いなる航路、グランドライン。
常識なんて通用しないのだ。
だから何が起こってもおかしくない。
おかしくは、ない。
たった一つの小さな油断で、仲間の一人や二人、眼の前で殺される
――「守れない」
そんなことでさえ、いつでも起こり得る。
嗚呼、でも、どうだろう。
頭ではわかりきったことなんだ。
でも、でも、
「マルコ!マルコ!!やめてくれ!おい!マルコーー!」
刹那、あいつはこっちを向いた。
すべてが、スローモーションに映る。
口が、
「 」
かたどる。
え?聞こえないよ、マルコ。
何言ってんだ、お前。
え?
さようなら。
違う。
あいしてる。
違う。
なんだよ、聞こえねえよ!
聞こえねえ!聞こえねえ!
そんな言葉聞こえねえ!
言う必要なんてねえよ!
諦めてんじゃねえよ、マルコ。
斬撃は命中。
青き炎に赤は似合わず、飲み込み、青には戻らない。
(ありがとう。)
色んな人に。
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