Novel

□よんでほしかったのは
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自分は銀時、なんて呼んでいた(今も、)けれど、
銀時が「晋助」とか「晋ちゃん」なんて云ったら構わず蹴り飛ばしていた。
(あの声は、駄目なんだ)
先生を思い出させるとかそういう事ではない。
もっと、違う何か。
(呼ばれると、頭が痛くなる)


一度だけ、銀時に「晋助」と呼ばれたことがある。
嫌で、銀時に思い切り平手打ちを喰らわした。
そのときの、白夜叉の目をした銀時の言葉が鮮明に記憶に残っている。

「お前の大好きな『白夜叉』なら、呼んでも良かった?晋助ってさ、」

確か自分は首を横に振って、違う違うと否定した気がする。
「お前は、俺のこと絶対に晋助って呼ぶんじゃねえ」



今考えると、悔しかったのかもしれない。
一体何が悔しかったのか、と自問自答してみる。



(簡単に名前を呼ばれることが?)
(先生と同じ様に呼ばれるのが?)
(呼ばれる度に、揺らぐ自分が?)



本当は、呼ばれたかったのだろうか。






「しんすけ」
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