Novel

□かえせ、かえせ
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「生憎、銀ちゃんは留守ネ」
憎らしげに自分を睨む少女の目が、
なんだか昔の自分にそっくりで
思わず目を背けたくなって、
だけど愉快で、自分はそれを見つめたまま笑う。
「クク…そうか」
「用がないなら今すぐ帰るヨロシ」
(この餓鬼、俺のことが憎くて堪らない)
だけど自分だってそれは同じだ。
少女のまだ純粋な蒼い目をぎろりと睨むと、
少し怯えたように顔を歪ませる。
「…私に云いたい事があるアルか」
「御嬢さんになら、分かるだろう?」
(殺しが職の、夜兎、なんだから)

「銀ちゃんのことか」
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