Novel
□よんでほしかったのは
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「 」
そういえば「晋助様」とか、「晋助」とか、
そういう風に呼べと云った覚えはなかった。
と云うか寧ろ、何と呼ばれようがどうでもよかった。
(来島とか万斎とかは、本当に何でもいい)
こいつらに下の名前で呼ばれる事に嫌気が差したり、
呼ぶな、とかそう云ったようなことをしようとは思わない。
先生は自分の事を「晋助」と呼んでいた。
先生はもういない。
その事実を分からせるから、だからまた子や河上には
呼ばれても平気なのかもしれない。
ただ、どうしてもあいつにだけは呼ばれたくなかった。