ドロップ

□戦いの前
1ページ/1ページ



 大嫌いな、自分の力。それを使って、生きなければいけない、戦い。

「ジェサ」

 そんなことを考えていたジェサに、聞き慣れた声が届く。

「アルス……」

「大丈夫ですか?」

「ん……」

 そう聞いてきたアルスに、ジェサは小さくうなずく。

「ジェサ、ありがとうございます」

「……?」

「あの時俺を見つけてくれて。ジェサのおかげで、俺は生きていますから」

 ふわり、と。優しい笑みをジェサに向けるアルス。
「だから、セト様。必ず、守りますから。なにもしなくていいですよ」

 適わない。と、ジェサは思った。アルスは、気付いてた。俺が、力を使うことを嫌ってこと。

「アルス」

「はい?」

「ありが、とう」

 そう言うジェサに、アルスはまた、優しい笑みを返した。

Fin


いの前
txt by ... 星海様(HP)





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ