大嫌いな、自分の力。それを使って、生きなければいけない、戦い。
「ジェサ」
そんなことを考えていたジェサに、聞き慣れた声が届く。
「アルス……」
「大丈夫ですか?」
「ん……」
そう聞いてきたアルスに、ジェサは小さくうなずく。
「ジェサ、ありがとうございます」
「……?」
「あの時俺を見つけてくれて。ジェサのおかげで、俺は生きていますから」
ふわり、と。優しい笑みをジェサに向けるアルス。
「だから、セト様。必ず、守りますから。なにもしなくていいですよ」
適わない。と、ジェサは思った。アルスは、気付いてた。俺が、力を使うことを嫌ってこと。
「アルス」
「はい?」
「ありが、とう」
そう言うジェサに、アルスはまた、優しい笑みを返した。
Fin