読モアルフォンス×リーマン兄さん
(ミニスカートの向こう側設定で)




「4月1日」


桜ももうすぐ咲くなーなんて呑気なこと思って頃、同居人で恋人なアルフォンスから爆弾発言が飛び出した。
せっかく、そのうちお花見とか行ってもいいなーなんてほのぼのしてたオレ。
「僕ね、写真集出すことになったんだ」
「おまえ、今まで出してなかったっけ?」
そう思うくらいには、アルフォンスは売れっ子モデルだ。公称読モだが、もう一人前のモデルと言っていいくらいの収入があった。
そうか、まだ出して無かったんだ。こいつの世界もシビアだな。苦労もしてるんだろうな。オレには言わないけど。
なんて、しんみりしてた事があった。


で、正直、忘れてた。いやだって、オレだって年度末で忙しかったんだ。毎日日付をとっくに跨ぎきった頃に帰宅して、朝も早くから出勤して。アルフォンスと恋人同士のコミュニケーションどころか、日常会話でさえままならなくて。「別に、あんたのことが気になるわけじゃないんだからね!」とばかりにオレ指名で呼びつけるツンデレな取引先とか、「えーなんかー良くわかんないんですけどー」ってほとんど決まってる書類なかなか作ってくれない管理職とか。オレだってさっさと終わらせてアルフォンスの飯をあったかいうちに食べたいのによ。
まあ、でもようやく一日もぎ取った休みに、ふいにアルフォンスが言ってた写真集を思い出して、なんだか申し訳ない気持ちもあって、フラリと本屋に入ってみた。
「あいつ、タイトル言ってなかっ……」
写真集のコーナーへ行けばわかるだろうと思っていたオレの進路の平台に、アルフォンスの写真集は専用コーナーとなって並べられていた。
「………」


アルフォンス初の写真集!
「尻穴ロマンス」絶賛発売中!


尻穴ロマンス、だと?
あれ、あいつ読モじゃなかったっけ?清純派の。清純派どころか、百戦錬磨のくせに。
なのに、初の写真集のタイトルが「尻穴ロマンス」。いいのか、これ?
呆然して、つい手に取ることも忘れて見入っていたオレの耳に、高校生らしき制服の客のセリフが聞こえる。
「あ、あった!尻穴ロマンス!」
「きゃあ!」
喜色満面の笑みで、写真集を手に取っていた。
「タイトル、いいよねー、尻穴ロマンス!」
「清純派なのに、尻穴ってとこが、なんとなく大人っぽい雰囲気だよね」
「尻穴ってー、今までのアルフォンスと違うキレカワイイイメージだよね」
なんとなく?
大人っぽい?
尻穴が?
え、オレが変なのか?
まるっきり三流アダ/ルト写真集みたいだと思ったオレが変なのか?
それより、男性の夢を持つ女子高校生が、尻穴尻穴連呼しないでほしい。泣きそうだから。これって、逆セクハラされてる気分だぜ。

なけなしのHPを根こそぎ削られ、オレの心には間違いなく桜吹雪が舞っていた。


終わり。

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