今日の兄さん(2013年)

□12月2日
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 12月ともなれば、朝は寒いし、あったかい蒲団がこの上なく愛しく感じる。
「ダメ・・・起きられない・・・オレ、今日は休み・・・」
 そう言って、エドワードがアルフォンスの腰にしがみついてくる。
 それはアルフォンスにとって、とても喜ばしい状況なのだけれど。
「ダメだよ、兄さん。遅刻する」
 必死の理性で、このまま朝の1ラウンド開始したいところを抑えているのに、当の兄はまったくもって起きようとしない。
 それどころか、アルあったかーい、なんてフニャフニャした顔で擦り寄って二度寝しようとしている。
 本当に襲ってやろうかと思ったとき、兄の鎖骨に残る昨夜の情事の跡を見つけて、いきなり下半身が重くなった。
 ちっ。このままでは本当に遅刻する。
 どうするか?
「兄さん・・・」
 エドワードの首筋に、顔を埋めるようにして唇を這わす。
 アルフォンスの決断は早かった。さすが、敏腕営業マンだ。判断も決断も早くなければ、社内一の実績なんて誇ってない。
「ん、んー・・・」
 くすぐったそうに肩をすくめた、未だ寝ぼけたようになっている兄を仰向けにし、露わになった胸の尖りをちゅうっと吸った。
「ん、あっ・・・んだよ、アル?」
 片方の乳首だけを、昨夜のように執拗に愛撫してみると、どうやら覚醒したらしいエドワードの腕で顔をグイグイ押される。
「あっ、離せっ、あんっ」
 押されようがジタバタされようが、アルフォンスの唇と舌はエドワードの胸で擦ったり噛んだり舐めたりと忙しい。
「やぁっ、アル、ああんっ」
 エドワード自身が半分勃ち上がったところで、解放した。
 兄の胸の真っ赤に腫れた乳首が、痛々しくてゾクリとする。
「おまっ、何いきなり」
「だって、兄さん、起きないっていうから。きっとこれも夢だよ、うん」
「夢なわけ、あっ、触んなそこ、や、ひぃっ」
 エドワードの双丘の奥にある蕾に、まだ夕べの湿り気が残っているのを確認してから、ベッドのサイドボードから潤滑剤のチューブを出す。指に絞って、エドワードの蕾にたっぷりと塗り込める。
「やっ、ダメだって!昨日だってしたじゃん!オレもう限界っ、ああっ」
 指を二本三本と増やしながらグチュグチュとかき回すだけで、アルフォンス自身はもう目一杯成長を遂げている。
「だって寒いんでしょ?体動かせば、あったまるよ」
 にっこり笑うアルフォンス。
「え、いや、だって!」
 本当に本気なアルフォンスを見て、このまま流されそうな不安にかられる。
 こんなことなら、会社行ってれば良かった。
 アルフォンスと抱き合うのは嫌いじゃないが、このままでは今日一日中ベッドの住人になってしまう。
 最初は温かい蒲団にくるまれたベッドの住人希望だったが、身動き一つに苦労するベッドの住人になってしまう。
「アル、ああぁっ!」
 エドワードが決心して、起きようとして、下半身からくるメリメリともミシミシともつかない音が先制攻撃とばかりに、エドワードを襲った。
「ちょっと痛かった?ごめんね」
 明るい朝の光の中で、実の弟の前で大股開きで致されているという現実を、ようやく実感できたらしいエドワードが赤面した。
「痛い・・・」
「兄さんが悪いんでしょ?ちゃんと体温めてあげるから」
 エドワードの半分持ち上がったそれを、掌で暖めた潤滑剤と共に手に取る。
「や、だいじょうぶ、触るなっ、ああ、ああっ」
 エドワードの先端から零れる、ぬるぬるした液の感触が、アルフォンスの手のひらからエドワードに伝わってくる。
 おまけにこのぬるぬる、とても気持ちがいい事が昨夜の情事で証明されている。
 仕事はどうなった、なんてことは、正直もうどうでもいい。
 ほんのちょっとだけ今日の予定だったものを思い出してみたが、その最中にアルフォンスの巧みな愛撫で、どうでもよくなってしまった。
 アルフォンスのことだ。きっと、どうにかなるのだろう。
「後で、有休の電話かけとくね」
 そんなアルフォンスの言葉だって、もうどうでもいい。
 脊椎を振るわせる数々の波に、エドワードは身を委ねた。



終わり。

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