スクール革命
□トライアングルな気持ち
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「リンに用意してもらったあのマンション、キャンセルしなくちゃ・・・」
「引っ越さないでね。大好きだよ、兄さん。愛してる」
アルフォンスに告白された。
正直エドワードは、嬉しさ半分、戸惑い半分ってとこだった。
弟で同性だ。すんなりオッケーできるはずがない。嫌われてないにしろ、多少鬱陶しいとかジャマだとか思われてたかもとか思ってたから、それは良かったけど。
そもそも、なんで自分なんだろう?エドワードの心中に湧く疑問は、なかなか晴れない。
アルフォンス、あいつ、実は・・・とか心配して、さりげなく学校で聞いてみたけれど、ちゃんと女の子の恋人がいたこともあったらしいし、エドワードが調べた限りでは人気もあるらしい。当然だ、オレのアルがモテないはずがない、なんて別の意味での満足は得たけれど、じゃあ、なぜなのかさっぱりわからない。これが離れて暮らしていた距離なのか、などと無駄に落ち込んでみたりもした。
どうにも袋小路なので、せっかく探してもらったマンションであるが、キャンセルすることで後日会ったリンに、このことを相談してみた。もちろん、弟っていうのは伏せておいて。
「リン、おまえさ・・・」
「ン?なニ?」
「おまえ、同性って恋人にしたいときってある?」
盛大にアイスコーヒーを吹いたリンに、エドワードが顔をしかめる。
ゲホゲホむせるのが落ち着いてから、複雑な表情になったリンがエドワードを見た。
「な、なんデ?」
まさか悟られたかと動揺したが、エドワードにはそんな素振りはない。むしろ、いつもよりボーッとしている。
「んー・・・なんでもな、あっ!なあ、キスしちゃったってことは、付き合ってることになるのか?」
キスだと?眉間が寄るのを、鋼の自制心で堪えたが、リンの限界はすぐそこまで来ていた。
どこのどいつだ?俺のエドワードを・・・と思うが、エドワードはこの時点ではリンのものではなく、意義を唱える権利もなかった。
奥歯をギリギリ噛み締めつつ、平静を装って答える。
「キスだけだロ?違うヨー。恋人じゃなくても、家族や親とはしてるだロ?今時、キスくらいで恋人とは言わないんじゃないかナー」
「・・・そうか」
なんだかションボリして見えたのは、リンの観察眼だからか。
いったい相手は誰なんだ?
そこで、ピンと浮かぶ者がいた。
「ねエ、最近、弟サンとはどウ?」
軽く聞いてみただけのつもりだったのに、エドワードの頬は音が出るんじゃないかと思うくらい、カアッと赤くなった。
「う、うん。すげー元気だよ」
「仲良くなっタ?」
「うん。なった、なった!」
頬を染めるエドワードは可愛い。可愛いけど、なんか悔しい。