スクール革命

□変化していく気持ち
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 最近は、学校にいても兄さんのことが気になって気になって仕方が無い。
 上級生のフロアには、行く用事もないから、どうしているのかまったくわかたないで悶々とする毎日だ。
「アルフォンス、おまえの兄貴、今フリーなのかな?」
「・・・なに?」
 こうして兄さんにとっては下級生にあたる、僕の同級生まで狙ってるやつだっているのに。
 一人で、ましてや車椅子なのに、学校は危険すぎる。
「おまえ、なんか怖いぞ」
「そう?気のせいだよ」
 怖いなら近づくなという目で、ジッと見ると、居心地悪そうに離れていった。
「すごい人気だよな。アルフォンスが睨むのもムリないけどさー」
 友人であるジョン・スミスも、溜め息つきつつ傍に来る。
「まあ、昼、食べに行こうぜ。おまえ弁当だっけ?」
「うん」
 ああ、そうだった。僕には弟として、こんなに素晴らしい特典があるんだった。
「兄さんが作ってくれたんだ」
 途端に、一斉に視線を浴びたような気がしたが、さっくり無視した。
「おまえ、すっかりブラコンになったなー」
「仕方ないでしょ」
 兄さんは、あんなに魅力的なんだから。
 鞄から、兄特製の弁当を持って、学食使用のジョンのために移動した。僕も、つい先日までは学食愛用者だったけれど。なんといっても安いし、高校生男子の胃袋を満足させる程度のボリュームもあるし、味もなかなか良い。私学の強みというやつか。
 今日の日替わりランチは、ナポリタンだった。僕も、まあ好きだったメニューだ。今となっては、なんの魅力もない。ああ、兄さんはナポリタン好きかな?今度、家で作ってみようかな。
「アルフォンス、何ニヤニヤしてんだよ」
「うるさいな。いいだろ」
「そんなに美味いのか?」
「最高だよ」
 呆れたように、溜め息をつかれた。
「お、噂をすれば、おまえの兄貴だぜ」
「え!」
 言われて、後ろを振り返ると、たぶん同級生に囲まれて車椅子を押されている、兄さんがいた。
「こうして見ると、なんか病弱で守ってあげたいって感じか?」
「病弱ではないけどね。守ってあげたいのは確かだよ」
 ああ、同じ学年だったら、僕が車椅子を押してあげるのに。なんで神様は、僕と兄さんを双子の兄弟にしてくれなかったんだろう?
「アル・・・おまえ、なんか目がヤバイ」
「気のせいだよ」
 言いながら、席を移動して、ジョンの横に座った。
「なんで俺の横に来るんだよ。そこで食ってればいいじゃないか」
「だって、その席だと兄さんが見えないだろ」
 とろけるように美味しい卵焼きを口に運びながら、視線は兄さんから外せない。声まで聞こえないけど、一挙一動に釘付けだった。
 横では、諦めたのか、ジョンがスパゲティをせっせと口に入れている。
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