スクール革命
□わからない気持ち
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転校して以来、なんと一週間ぶりに兄と一緒に登校した。
学校までの交通機関も、車椅子をすいすいと操作して、僕の手助けなんて必要じゃなかった。
家事も、分担したはずなのに、掃除とか洗濯とか、兄のほうがよくやってくれている。こんなはずじゃなかったのに。
「じゃあな、アル。帰りは、先に帰っていいから」
「あ、兄さんは?」
「オレ、友達と約束してるんだ。夕飯までには帰るから」
食事作るの面倒だったらデリバリーでもいいぞと、学校の校門で言われた。
その、遠ざかっていく車椅子の背をボンヤリ見つめていると、ちょっと悲しくなってきた。
僕は、兄さんに必要とされていないんだろうか?
いや、最初にそんなことは言われてたけど・・・
聞いてみようか?
いや、本気でいらないって言われたら、かなり凹むから聞きたくない。
帰宅する道は、あんなに嬉しかった朝の登校とは、同じ道と思えないくらい寒々しかった。
家に帰っても、どこか気分が冴えない。
昨日まで、公証病欠で本当はサボリな兄が、帰宅すると出迎えてくれたからか。
一緒に住んでいた父親も、風来坊みたいなものだから、いつも一人だったしそのほうが気楽だと思ってたのに。
兄さんがいないなんて、寂しすぎる。この短い間で、すっかりブラコンになってしまったようだ。でも、それでもいい。
「あー、どこ行っちゃったんだろ・・・」
誰かと一緒なんだろうか?女の子とか・・・
そんなことを想像して、記憶を消そうと頭をプンプン振ったりしていた。
「料理、しようかな・・・」
基本、何でも作れる。料理どころか家事、いや、生活すること全てが非常識なくらいダメだった父親をもった賜物だ。
冷蔵庫の中をごそごそあさって、献立を決める。
「肉じゃが・・・いや、シチューにしよう」
鶏モモ肉もあるし、根菜類もある。
肉と野菜を煮込み始める段階で、フライパンで小麦粉とバターでルーを作り始めた。
牛乳と少しの生クリームを使うのが僕の作り方だ。
「よし・・・」
ルーを入れてとろみがついたら、火を止める。
「あー、なんかいい感じ。兄さん、シチュー好きかなあ」
「好きだぞ」
ビクッとして後ろを振り向くと、キッチンの入り口に兄がいた。
「おかえりなさい」
「ただいま。なあ、今日シチューなのか?いい匂いだな!」
目をキラキラさせて、僕よりもシチューの鍋にしか目がいってないところを見ると、相当好きらしい。
「ちょうど出来たから、すぐ食事にするね」