今日の兄さん(2012年)

□12月8日
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 勤務を終えて帰宅したと同時に、リビングにある電話が鳴った。
 また司令部逆戻りかと、恐る恐る受話器を取ったエドワードの耳に、意外な人物の声が入った。
「おかえりなさい、エドワード」
「・・・ただいま、って、なんでサラ!?」
 親友の恋人である彼女が、エドワードの家に電話してくることなんて今までになかったことだ。
「もしかして、ケンカでもした?」
「今、私の膝を枕にしてる大きな子供とのことかしら?あなたに用があって電話したのだけど」
 大きな子供というのは、サウザのことか。なるほど、大型犬のようだとエドワードも納得した。
 どうやら二人の仲は、変わらずらしい。
「なんだ?サウザ、寝てるの?」
「寝てるわ。大丈夫。ちゃんとあなたと電話するって言ってあるから。今から話すことも」
 それじゃあ何かと尋ねると、すらすら答えてくれた。
「うちの看護師たちが、サウザとそのお仲間医師との合コンしたいって言うの。もちろん、最初は断ったのだけどね」
 彼女たちによれば、サラだけ医者と恋愛できれズルイとか言われたそうだ。
 別に、恋愛するのに相手の職業は関係ないと思っているサラだったけれど、一般人とは勤務時間がズレていて、出会いも少ない職業でもある。サウザは自分の恋人だし、まあサウザの友人なら楽しい飲み会になるだろうと思い直したそうだ。
 しかし、彼女たちの希望は、できれば司令部軍医のエドワードも参加してほしいとのことだった。
「まあ、そんなわけなのよ。ダメかしら?」
「うん、まあ、夜なら大丈夫かな・・・仕事入るかもしれないから、ドタキャンありなら参加するよ」
「本当?ありがとう。日時はまた連絡するから、ダメなら遠慮なく断って」
 エドワードにしても、同業者や看護師のような医療従事者たちとの飲み会なら楽しめそうだった。
 サラの友人なら、それなりに優秀な看護師たちだろう。
 翌日、早速電話で連絡が来たときには、むしろワクワクして了承した。
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