スクール革命

□限界な気持ち
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 厚めの遮光カーテンを引くと、兄さんもちょっとホッとしたようだ。
「ね、兄さん。車椅子から落ちたの?」
 コクリと頷く。
「壁伝いとか、杖なら歩けるはずなのに、オレなんか力入らなくなっちゃって・・・」
「ケガしてない?どこか痛いとこは?」
「・・・ない」
 それで、ようやく僕もホッとすることが出来た。
 と、我に返れば、愛しい兄が腕の中にいる現実で、心臓が激しく鼓動を奏でる。
 いや、まずい。これはまずいって。
「兄さん、リビング行こうか?」
「いい。大丈夫。って、ははっ、オレまたおまえに迷惑かけちゃってさあ。兄貴なのに、ホントみっともないって」
「そんなことないよ!」
 今にも泣き出しそうな兄に慌てつつ、下半身にはよく知ってる現象で熱が集まり始めている。
「兄さんはステキな人だよ。兄さんは兄さんだ。そんな寂しいこと言わないでよ」
 もう、なるようになれとばかりに、兄の頭を抱きしめた。
「ねえ、僕は兄さんは好きだよ。兄弟としても・・・もっと別の意味でも」
「別の、意味・・・って?」
 上を向いて僕を見た兄さんに、さらにドキドキMAXで次の行動に移した。
 頬を挟むようにして、唇を重ねる。
 一瞬、兄の目が大きく開いたのがわかった。
「ごめんね、兄さん。僕はこういう意味でも、兄さんのことが好きなんだよ。兄弟だけど、それ以上の関係を、僕は望んでいるんだ」
 呆然となされるがままになっていた兄さんも、さすがに考え始めたようだ。
「オレ、車椅子だぞ?」
「いいよ。僕が兄さんの脚になるから」
「兄弟なのに」
「兄弟だよ。でも、それとこれとは別だからね」
「アル、オレ・・・うわっ!」
 油断していたときに落ちた雷は、余計に衝撃的だったろう。思わず僕の腕の中に飛び込んできた。
「愛してます、兄さん。雷なんかより、僕の言葉を聞いて」
「オレは・・・どうしたらいいのかわからない。けど、おまえと一緒なら大丈夫かなって・・・思って・・・なんか、ごめん・・・」
 そう言ってくれた兄さんは、誠実なんだろうな。
 少なくても拒否されなかったことに、僕は嬉しさを隠せなかった。
 そうだよね、突然弟に恋人云々言われても、戸惑うだけだと思うよ。
 オッケーはもらえなかったけど、これで少しでも意識してもらえたら嬉しいし。これからだと思う。
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