今日の兄さん(2012年)

□12月20日
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 昔から思うけれど、軍人ってそんなにモテないのだろうか?
「ってわけでですね、彼女はエルリック中佐みたいな人がいいっていうんですよ・・・」
「ふーん・・・」
 とっくに食事は終わったのに、つい成り行きで恋愛相談に乗っているエドワードは、相談料とばかりに貰った目の前のデザートを味わうことに集中している。
 不安そうに見つめるノルー・エッジ少尉も視界に入ってはいるけど、それよりもプリンのほうが魅力的だ。
「先生、聞いてますか?」
「聞いてるよー。で?」
 生クリームとフルーツで飾られたチョコプリンは、カロリーこそ女性の敵だが、味のほうは女性の癒しになっている。エドワードにしても、最近のお気に入りになってたりする。
「どうしたら、エルリック中佐みたいになれるのかと思って。先生なら弟だから、俺たちより中佐の特徴というか、中佐ならではなところを知ってるんじゃないかと思いまして」
「ふーん。で?」
「どうしたらいいですかねえ!?先生!」
「あー・・・アルみたいに、ってなあ・・・」
 チョコプリンの最後の一口を堪能して、コーヒーを口にする。
「でもよ、エッジ少尉もアルに似てるとこあるんだけどな」
「え!?そ、そうですか!?どこがっ!?」
 テーブルを乗り越えんばかりにエドワードに迫る。
「うーん・・・けっこう・・・」
「そんなに!?・・・なら、なんで俺じゃダメなんでしょうねえ?」
 そんな泣きそうに言われても・・・とエドワードも困る。意中の女性士官のプーラ・シンガ准尉は、小柄で鈴を転がすような声が魅力で司令部でも狙ってる男性は少なくない。
「あ、そういうことなら、本人にあと何が足りなくて必要かって聞けばいいじゃん。オレ、それとなく聞いてみようか?」
「お願いします!俺、今年こそは彼女と年越ししたいんですよ!」
「年越しって・・・仕事じゃねえのかよ」
 今年もお泊り勤務が決まっているエドワードにしたら、少々おもしろくない。
 だからといってジャマしようとも思わないけど。
「んじゃ・・・なー、シンガ准尉!」
 少し離れたところでコーヒータイムになっていたシンガに声をかけつつ、近寄っていく。
 背中には、エッジの視線が痛いくらいビシビシ伝わってくる。
「ちょっと聞きたいんだけどさ。いい?」
「なんですかー?」
 エドワードとも比較的仲の良いシンガは、ほんわり微笑む顔も可愛い。なるほど、男性に人気なわけだ。
「なあ、シンガ准尉の好みのタイプって、アルみたいなんだって?」
「えー!どこで聞いたんですかー?」
 それとなくというより直球なのがエドワードがエドワードである所以だ。
 エッジも頭を抱えつつ、でもこれで聞ければいいなとも期待してたりしちゃうわけで。
「いいじゃん、いいじゃん。なあ、それってどんなとこ?ってか、似た人ならいいの?」
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