▽
□〜無茶〜【D兄弟/ルフィ】
2ページ/2ページ
うわっ!!!
体が宙に浮く。
突然の恐怖に思考が止まる。
子猫を抱きしめ強く目を瞑る。
ドサッ!!
地面に叩きつけられた衝撃はあまり大きくはない。
俺は温かいものの上に落ちた。
エースが俺を受け止めてくれたらしい。
腕の中の子猫も無事だ。
良かった…。
その時、
「馬鹿やろっ!!何してんだ!!」
エースが怒鳴った。
俺はビックリして顔を上げた。
そこには優しい兄ではなく怒った兄の表情があった。
物凄く怒っている。
今までに見たことの無い真剣に怒る兄への恐怖に目尻が熱くなる。
そして崖から落ちた恐怖と雨の寒さに体が震える。
何も言えずにいるとエースが表情を緩め溜め息をつくと。
俺の頭をクシャっと撫でた。
「怪我は?」
と聞かれ落ちた時に右足を捻ったのだが、これ以上迷惑をかけてしまえば兄に嫌われてしまうと思い首を横に振った。
「ならいい。帰るぞ。」
と言いエースは立ち上がった。
そして背を差しだした。
「え?」
「ほら!!」
兄に言われるまま俺は負ぶさった。
兄の背中はしっかりしていて、とても温かかった。
兄に心配をかけてしまった。
今日も俺を探しに必死にここまで走ってきてくれたんだろう。
いつも自分のことをちゃんと見てくれて心配してくれる兄が嬉しかった。
そしてその兄に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「…エースごめん。」
涙が溢れてくる。
「心配かけやがって。」
エースはフッと笑ってコツンと頭をぶつけた。
家に帰るまでの道、俺は兄の背中で泣いていた。