□〜無茶〜【D兄弟/エース】
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「ルフィ!!」


心臓が一瞬凍りついたようだった。




俺はルフィの丁度真下にいたため転びながらも見事ルフィを受け止めることが出来た。



ルフィの腕の中には子猫がしっかりと抱かれていた。


ぎゅっと目を瞑っているルフィ。







弟の無事と子猫の無事を確認し、ほっと胸をなで下ろした。




そして心配の怒りが噴き出てきた。


「馬鹿やろっ!!お前何やってんだ!!」

俺は思いっきり怒鳴った。



ビクッとルフィが顔を上げる。

今にも泣きそうな目で俺を見る。







ルフィは冷たい雨と、崖から落ちた恐怖とで小さな体をカタカタと震わせている。

その小さな体は冷たく凍えている。







俺は溜め息を1つついてルフィの頭をクシャっと撫でた。



「怪我は?」

俺の質問に弟は首を横に振る。


「ならいい。帰るぞ。」



と、言い俺はしゃがんでルフィに背を向けた。




怪我は無いって弟は言ったけど、右の足首が赤く腫れ上がっている。



ルフィは子猫を抱き兄の背に負ぶさった。

















雨は未だ激しく降り続いている。



俺はずぶ濡れになりながら弟を負ぶって家へと歩いた。











少し行った所で

「…エースごめん。」

とルフィが小さな声で言った。


冷たい雨と共に肩には温かい雫が落ちた。











弟が無茶をするのはこれが初めてではない。


いつも何かと無茶ばかりして俺に心配をかける。


でも意味のない無茶ばかりではないと言うことを俺は知っている。






ルフィは優しいから。



そんな弟を心配し見守ることも兄貴の役目だ。










「心配かけやがって。」


とだけ言い、雨の降る空を見あげ弟の頭にコツンと自分の頭をぶつけた。












俺は弟の行動にはいつもハラハラさせられる。


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