□やきもち【リクエスト】
1ページ/2ページ





甲板の上で一人、気に入らない様な顔をして海に目をやっているのは白ひげ海賊団二番隊隊長ポートガス・D・エースだった






数分前のこと―…



エースはルフィと昼食を食べようと船内でルフィを探していた

偶々すれ違ったマルコにルフィを知らないかと尋ねたところ、クルー達と飯を食いに行ったと言われそこからエースは またかよ、と一気に不機嫌になった




あの大戦争の後に一旦白ひげ海賊団の船へと乗り込んでいるルフィ

エースは久々に会えた弟を独占したいのだが、いつもクルー達に邪魔されまだまともに二人で話すら出来ていない


しょうがないと我慢してきたエースだがそろそろ限界を迎えていた頃だった




何をするわけでもなく遠くの海を眺め苛立ちを鎮めようとしていた


















「エース!」

その時、エースは後ろから自分を呼ぶ声と足音を聞いた

振り返った先にいたのは先程まで探していたルフィだった


エースは嬉しい筈なのだが、苛立ちはまだ治まっていなくつい悪態をとってしまう





「何だよ、飯食いに行ったんじゃねェのか?」

「おう!だけどエース居なかったから探しに来た!」


そんなエースの感情には気付かずにルフィはしししっと笑っている



「飯食いに行こうぜ!」

「俺はまだいい。一人で食ってこいよ。」


ルフィが自分を探しに来てくれたのは嬉しかったがエースは既にそんな気分ではなかった




「そうなのか?…みんなのとこに行かねェのか?」

「ああ、まだ此処にいる。」

「そっか。」


明らかにルフィを困らせているのは分かっていたがエースは自分の態度をどうする事も出来なかった

まだイライラとモヤモヤした気持ちが治まらない








「じゃあ俺も此処にいる!」

そう言ってルフィはエースの隣に並んで船端に寄りかかった



「何でだよ?行けばいいだろ」

「エースが行く時一緒に行く!」

「いいから先行けって!」



久しぶりに会えたのにルフィはクルー達とばっかり居やがって…

今まで俺をほったらかしにしとして今更なんだよ!




「さっさと彼奴等の所に行けばいいだろ!」















…やべ
流石に今のは言い過ぎだ




「……」

「……」




気まずい沈黙が流れる



折角ルフィがああ言ってくれたのにエースは自分が気に入らなかったからとルフィに当たってしまった

単に自分のやきもちだって分かっていたのに…





エースはすぐに謝ろうとしたが、同時にルフィも口を開いた


「ル…「だけどエース」

ルフィの言葉でエースの言葉は遮られてしまった

ルフィに何を言われるのか…エースは少し怖かったがルフィの次の言葉を待った























「一人じゃ寂しいだろ?」

「は?」




意外なルフィの言葉にエースは呆気にとられてしまった

ルフィはさっきのエースの言葉を気にしていないのか、と言うより理解してないのだろう




それはそれで安心したのだが、弟にそんな事を言われるのは兄として少しムカつく



「…ばかやろ!寂しくねェ!」

「そうなのか?だけど俺は寂しいから此処にいる!しししっ」

「……!」


突然の言葉にエースは動きが止まってしまった



「だってやっとエースと会えたのに全然一緒に居れないしよ…
俺寂しいかったもん!」



何可愛い事言ってんだコイツ…

と、エースは心の中で呟いた








エースはルフィも自分と同じく寂しいと思っていた事が嬉しかった

そして意地を張っていた自分を恥ずかしく思った




「うわっ!」

照れ隠しにとエースはルフィの頭をガシガシと撫でた


さっきまで不機嫌だったのに何時の間にかエースの顔は緩んでいた




可愛い弟のその一言で兄の機嫌は直ぐになおった




















「ルフィ、飯食いに行こうぜ!」

「おう!」


end.


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ