□〜流星〜【D兄弟/エース】
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いつもの事だった。


今日もルフィはきっと何処かで遊んでいるんだろう。

そう思ってたんだ。









だけど夕方になってもルフィは帰って来なかった。


流石に心配になって探しに行く。






ルフィの行きそうな場所を隈無く廻ったが何処にもいない。


「何処いっちまったんだ?」



日がどんどん沈んでいった。

比例して俺の心配も増していく。










怪我をしていたら…

海に落ちていたら…

1人で泣いてたら…




















村の近くの森に入っていくルフィを見たという人がいた。



多分森で迷子になってしまい帰れなくなったんだ。








俺は森の中を探し廻った。




体の至る所が草で切れても、木の根に躓いても俺は休まず走り続けた。




息を吸い込むと肺が痛い。

体中の傷がヒリヒリ痛む。

体力も限界に近づいていた。





それでも俺はふらつく脚をひたすら前へ進めた。








どれほど捜しただろう。


既に辺りは真っ暗で薄気味悪い森の奥深くまで来ていた。


空には白い月が出ていた。






俺は漸く足を止めた。


止めた瞬間肺が酸素を求め、息が苦しくなった。


両手を膝につき肩で荒く息をする。

見ると脚は血だらけだった。



肺と傷口が痛む。




そしてルフィが1人森で泣いている姿を想像すると胸が張り裂けるような痛みが襲う。







早く見つけてやんなきゃ。

早く安心させてやんなきゃ。










また捜し始めようとし勢い良く顔をあげた。

そして足を進めた。

















気が付くと森の端の方まで来てしまっていた。


木々が途切れ茶色い地面が現れる。







崖の手前に何かを見つけた。





「ルフィ!!」


そこには仰向けに倒れているルフィがいた。



「おい!!ルフィ!?」


ルフィの体を揺さぶるとルフィが目を覚ました。


「…エース?」


「…良かった…。大丈夫か!?」


「うん…。俺……寝てた。」


「はぁ!?」


「星見てたら何時の間にか寝ちまってた…。」


目を擦りながら言う。
















散々心配して


体中傷だらけで


必死に森ん中探し回って



漸く見つけた弟は寝ていた…。






あの心配の感情はどこへやら…


お前は兄ちゃんの心配を何だと思ってんだ!!


一発殴ってやろうかと思った。




















「エース!!俺、流れ星見たんだ!」


「あ゙?」


俺の不機嫌にも気付かずルフィは満面の笑みで話し出す。




「帰る道分かんなくなっちまって…段々暗くなってきちまうし怖くなってたたんだ。」


「…。」


「だけどな!!空がすんげぇ明るかったんだ!!夜になっても周りが見えるのは星のお蔭なんだな!!」


「…ああ。昼間太陽が輝くのと同じで、夜は月や星が俺達を照らしてくれてんだ。」


「だからだな!!俺全然怖くなくなったんだ!!そんで此処で星見てたら流れ星が流れたんだ!!」



目を輝かせ興奮気味に話すルフィに怒りの気持ちも薄れてきた。





「そんでな!俺願い事したんだ!!でも3回も言えなかった…。」


「流れ星は速ぇからな。願い事なんてまず無理だろ。」


「でも流れ星は願いを叶えてくれたぞ!!」


「え?」





















「エースが迎えにきてくれた!」
















ニイっと歯茎を見せ笑う。




なんだそれ?

俺は吹き出した。


「ははッ、そりゃ流れ星がサービスしてくれたんだな!!」


ルフィも、しししっと笑う。













本当に空が明るかった。



その光で俺は気が付いた。

ルフィは泥だらけで目には涙の後があったんだ。



















2人で寝込んで空を見た。



空一面に星が散りばめられ、きらきらと輝いている。








するとキラッと星が1つ流れた。



「「あッ!!」」







「流れ星だ!!」


ルフィは立ち上がり空に向かって大声で叫んだ。























「エースと一緒に海賊王になれますようにーッ!!」
















流れ星は既に流れた後だった。




クルッとルフィが俺を向き、

「きっとまた流れ星はサービスしてくれるよな!!」


とびっきりの笑顔を向けられた


「ああ!!」

俺もとびっきりの笑顔で返す






流れ星に願わなくてもお前が言うと本当に叶う気がするんだ―…




























流れ星に3回言わなくても願いが叶うなら…


流れ星が流れた後に願い事を言っても叶うなら…


もし流れ星が俺にもサービスしてくれるなら…









俺の願いも叶えてもらいたい。






























ずっとルフィが笑っていられますように…。











心の中でそっと願った。





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