短編(学園)
□欲しいのは、あの言葉
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傍に居てほしい、
なんて‥そんなワガママは言わないから
だから…
たった一言の愛の言葉が欲しかった
『ねぇ…一巳、』
一「どうした?」
『ううん…何でもない。呼んだだけ‥』
一「…そうか」
私の恋人…
目の前で机に向かい、書類と睨めっこをしている高等部校長…
行平 一巳
私の大好きな人
やっぱり、他の生徒にバレるとまずいから‥
付き合っている事は、隠しているけど。
うーん…
やっぱり、構ってもらえないと…淋しい
『ねぇ…校長先生?』
一「…一巳だ」
2人っきりの時は、名前で呼べ…
付き合い始めた頃にそう言われた
言わないと、拗ねるから面白いし‥可愛い
『仕事、頑張って!一巳』
一「あぁ…」
『ガンバレー…私は、ゆっくりと寛いでるから』
そう言って、笑う私を…一巳はジッ…と、黙って見つめてきた
そんなに見つめられると、照れる…
そして、ふ…と口を開いた
一「…すまない。◯◯◯……」
『はへ…?な、何が?』
一「いや、構ってやれなくて…それに、淋しい思いをさせてしまって」
私は、一巳の言葉に唖然…
多分、口を開けて凄い顔をしていると思う…
『ふ、ふふふ…!』
いきなり、変な笑い方をする私に一巳は何か言いたそうな目で、見てきた…
多分、“頭、大丈夫か?”とでも言いたいんだろう
確かに、
淋しい時のが多い
だけど…
一巳は学園の校長、生徒と恋愛関係にあるなんて知れたら…大変なんてもんじゃない
淋しいし、辛い…
もっと傍に居たいし、居てほしい
小さな願いだけど…
私にとっては、一つの幸せ
一巳を困らせちゃダメ…
私の自己満で、一巳に大変な思いをしてほしくない
謝ってほしいワケじゃない
謝罪は要らない
淋しいのは、お互い様だって信じてるから
もし、言葉をくれるなら……
私は…
『私は、一巳を困らせるつもりはないよ。…一巳に謝ってほしいワケでもない』
一「そう、か…」
『淋しいのは、お互い様だって信じてる…傍に、居なくても‥私と同じ気持ちでいてくれるって…』
一「……◯◯◯…」
大丈夫、私はそんなに弱い女じゃないよ
そのくらい、知ってるでしょ?
そう言って、笑った私に一巳は少し驚いたけど…笑ってくれた
一「◯◯◯…おいで」
『うん?』
一巳は、私を優しく抱き締める
そして…
私と一巳の唇が、重なった…
優しく、甘く…だけど、深く‥熱く……
大丈夫、淋しいなんてもう思わない
傍に、居なくても大丈夫…
いつでも、会えるからね
大好きだよ、一巳
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欲しいのは、あの言葉
(◯◯◯…)
(なぁーに?)
(私は、ちゃんとお前の傍に居る)
(うん、知ってるよ)
(……愛している、永遠に)
(…私も‥永遠に愛しています)
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