短編(学園)

□待ち合わせ場所は…
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“明日、10時にセントラルタウンで待ち合わせ”




昨日の帰り際、彼はそう言って帰って行った。

正確には、それしか言わなかった…
だから場所が分からない。
どこに行けばいいんだろうか?
どこで待ってればいいんだろうか?


久しぶりの休日に、久しぶりの彼とのデート…

それなのに、奴はバカか。

電話にも出ないし、メールも返って来ない。
待ち合わせから30分…彼は、ナルはもう来てるんだろうか。


もしかしたら、何か合ったのか…それだけは、考えたくもない。

私は、ふらふらとナルを捜しながら店を見て回っていた。



ふ、と初等部の生徒がホワロンを食べているのが目に入った。

そう言えば、ナルと話すようになったキッカケも、生徒がホワロンを………



ん?


もしかしたら…




そう思い、私は急いで駆け出した。

ヒールを履いてようとお構いなしに、走った。
ただ、スカートじゃなくて良かったな。なんて思いながら。



“そこ”に居なかったら?
それは思わなかった、だって…絶対、そこだって確信があったから。

分からないけど、そこしかないと思った…






『………ハァ、ハァ…』






着いた。

案の定、ナルはそこに居た…


ナルに近付いていけば、私に気付いたナルはニコッと笑った。

私は息を整えながら、歩く。






ナル「40分遅刻」






そう言いながら、噴水の縁に腰掛け、時計を見るナル…

笑みを浮かべながら、そう言うナルにイラッ…ときた私は、頭にチョップをかましてやった。






ナル「痛い…」



『何が遅刻よ、あんたワザとやったでしょう!』


ナル「んー?何のコトかなー」



『白々しいわね』






ニコッと笑うナルを見て、怒る気が失せた。
私も隣に座る。


走ったから暑い…後ろの噴水と、心地良い風がいい感じに気持ちがいい。





ナル「走ったんだ」



『……ま、ね』






何で走ったんだろう、今更になって恥ずかしくなり、曖昧な返事をしてしまった。






ナル「嬉しいな」



『…………』






本当に嬉しそうにそう言うナル…


私は軽くため息を吐いた。






『私が来ない、ってのは考えなかったの?』



ナル「うん、考えもしなかったよ」



『…あんた、ホント馬鹿ね』



ナル「ヒドいなぁ〜…」






私も、信じてた


なんて、ムカつくから言ってやんない。
第一、言葉にしなくても伝わってると思うから…


私の気持ちも思いも、

ナルの気持ちも思いも



お互いちゃんと分かっているから…

だから、こうして馬鹿やって笑い合って…ずっと隣でこうして居られたらそれでいい。



幸せだから。






ナル「さてと、行こうか」



『―――うん』






差し出されたナルの手をとり、2人並んで歩き出す。

繋いだ手が妙に心地良くて、安心する…
横を見れば、ナルの笑顔。






『……ナル』



ナル「んー?」



『何でもないよ』






そう言えば、気になると騒ぐナル。
私は笑って流した。








































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