桜の花が舞う季節
□[05]The Shooting Star Project
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あたし達は花火台の煙突の中へと入り、空鶴の合図を待つ。
中では、霊珠核を囲むようにあたし達はそれぞれが向かい合って立つ。
夜「…じき夜が明ける。それを合図に打ち上げ式が始まる」
夜「いいか瀞霊廷に入ったら決してはぐれるな。隊長格と出会ったら、迷わず逃げろ」
『あたし達の目的はルキアの奪還、それのみよ。絶対に無駄な危険を冒してはダメ』
その瞬間だった…
空鶴が詠唱を唱え始めた。あたし達はそれを合図に霊珠核に霊力を込める。
“彼方、赤銅色の強欲が36度の支配を欲している”
“72対の幻、13対の角笛…猿の右手が星を掴む”
“25輪の太陽に抱かれて、砂の揺籠は血を流す”
空「花鶴射法・二番!!“拘咲”!!」
空鶴のその声と共に、あたし達は空へと打ち上がった。
そして、次は岩鷲が詠唱を唱える。花鶴射法・二番は二段詠唱…二段にすることで精度を上げる仕組みになっている。
岩「瀞霊廷に無事に突入するためには、砲弾の軸を安定させる必要がある!」
岩「そのためには全員の霊力の放出量を、均一に調節しなきゃならねぇ!」
岩「だが俺はこれから術式に入る!そうなると霊力の放出にあまり気を払えねぇ!」
だから、全員が岩鷲の霊力量に合わせる、ということだ。
ミスったら終わりだから頼む、と岩鷲がそう言うと皆は真剣な表情で頷いた。
織「く…黒崎くん…っ、ちょっと多い…っ!」
護「そ…そうか?わ…悪い…」
雨「黒崎!もう少し落とせ!」
護「わ…わかってるよ!これでも結構、減らしてんだ!」
茶「……一護、」
護「わ…わかってるってば!」
確かに、一護の霊力は安定してない。みんなが言うのも分かる。
ただ一護の場合、下手くそなのもあるけれど、それ以前に霊力の量が多すぎるのもあると思う。だから死神になったばかりの一護では、調節は難しいのかもしれないな。
『…一護、落ち着ついて。ゆっくりで良いからやりなさい』
護「お…おう…!」
楓「一護…もう少し減らしてよ」
護「わかってるって!今減らしてんだ!ちょっと待ってくれよ!」
こっちで、ごちゃごちゃとなっている間、岩鷲が少しイライラしながら詠唱をしていた。
そして次の瞬間、同じ行を二回読んでしまっていた…これはマズいかもしれないわね。
岩「バカ野郎!!同じ行2回読んじまったじゃねぇか!!」
護「何だよ、ちくしょう!それも俺のせいかよ!!」
岩「てめーがギャーギャーうるせぇから、気が散ったんだろうがボケェ!!」
喧嘩をし始める2人…喧嘩するほど仲が良い、ってか?
でも、今は喧嘩なんてしてる場合じゃない。
こうしている間にも、瀞霊廷はもう、直ぐそこに迫っていた…ここまで来ては、岩鷲が詠唱を唱えている時間はない。
ゴオオォォォ
地鳴りのような音が響く。
雨「ぶつかる…っ!!」
聖「ったく…マジかよ、」
夜「こうなっては仕方ない!!全員でありったけの霊力を込めるんじゃ!!」
『少しでも砲弾を堅くしなさい!!』
護「行ってくれぇ!!!」
ズゥン…―――
あたし達は瀞霊廷へと突入した。
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