短編(学園)

□待ち合わせ場所は…
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――――…2年前、






私はセントラルタウンへと買い物に来ていた。

用事も済ませて、一息つくため歩いていた。
ホワロン屋が目に入り、気分的に食べたくなった私は、一番小さな箱を買った。

近くの噴水の縁に腰掛け、ホワロンを一つ頬張る。

甘いなぁー、なんて思いながら辺りを見てボーっとしていた。


元気に子供達が走っていて、手にはホワロンの箱。
転ばないようにね。なんて思っていると…案の定、生徒は転んでしまった。
それと同時にホワロンは辺りに散らばってしまった…

私はその子の元へと駆け寄った。






『大丈夫?』






駆け寄ると生徒は、泣き出してしまう…






「うわーん!痛いよぉ…!」


『擦りむいちゃったのね』



「うわーん!!」






大泣きする女の子は、散らばってしまったホワロンを指差しながら、途切れ途切れに言った…






「わ…た……せっかく…ホワロ…うわーんっ!」



『そっか、落としちゃったんだよね…あ、ちょっと待っててね』






私は自分が買ったホワロンを持ってきて、女の子に渡す。






『あげる!』



「ぐすっ…いいの…?」



『うん。私一つ食べちゃったけどいい?』



「うん!ありがとう!」






私が笑うと、女の子も笑ってくれた。

私は女の子の擦りむいた所を治してあげた。
実は、癒し系のアリスを持ってたりする。






「ありがとう!」



『どういたしまして』






もう転ばないようにね。と声を掛けると、女の子は元気よく帰っていった。

良かったな、と女の子の後ろ姿を見送り、噴水へと戻る。

そこには、鳴海先生がにこやかな顔をして座っていた。






『あ……鳴海先生?』



「良かったですね」



『見てたんですか…』






そう言えば…見えたんですよ。と言われた…

綺麗な顔をして笑う彼を、何故か見つめていた…
羨ましいなって思った気がする。
あまり彼とは話さない。話す事は特に無いから…
こうして、ちゃんと話すのは今まで無かったな。





「優しいですね、◯◯◯先生」



『当然の事でしょう?』


「さて、一緒にお茶でもどうです?」






私が買った買い物袋を持って歩き出す鳴海先生…私に拒否権は無いじゃないか、と苦笑した。






「あ、ホワロン買います?」



『ふふ、そうですね――お茶は、鳴海先生の奢りで』



「え゙っ…!」

























私と貴方の出会いは、そこから始まったんだ――――















待ち合わせ場所は…


(ホワロン買って、お茶しようか)
(ふふ、そうね)
(また僕の奢り…?;)
(当然!)









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