脱色N

□君の元へ!
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グリ「黒崎…?」

一「グ、グリムジョー?!」


聞こえる筈のない、しかし確かに聞き覚えのある勝ち気な声に振り向くと浅葱色の破面がいた。

一「え、おま、え?!」
グリ「やっぱテメェだったか」
一「なんでここに、いるんだよ!?」

今一護がいるのは現世ではない。決して破面と交わることの許されない尸魂界。何がどうしたら彼がここに現れたのか理解出来ない。


グリ「俺がどこに居ようが勝手だろ」
一「ちょ、とりあえずこっち来い!バレたらまずいだろ!」
グリ「ごちゃごちゃうるせぇな…」


舌打ちするグリムジョーを強引に引っ張り路地裏へと隠れる。


一「虚圏から勝手に出ていいのかよ!藍染は?!」
グリ「……虚圏?…藍染?」
一「ん?」

グリ「なにそれ美味しいの」

一「えええ?!」
グリ「そんなもの知らねぇお前頭腐ってんじゃねーか」
一「いやいやいや」
グリ「藍染って誰?ウルキオラって誰?ザエロって何?そんなもの存在しねェ!!」

一(あいつら何やらかしたんだよォオオ)


完全にご立腹なグリムジョー。額に青筋を立て、歯を食い縛っている。

グリ「俺はもう虚夜宮に帰らねェ」
一「落ち着けよグリムジョー。何があったんだ?」
グリ「なんもねェよ!!!!」キシャー
一「スイマセン」

牙を剥くグリムジョーに我が身を案じて一護は黙りこくった。


一「…いや、てかどうやってここへ…」
グリ「ザエロの研究室弄ってたらこれ見つけて…」

そう言って一護へと差し出したグリムジョーの右手首には銀色の輪っかがついていた。

一「なんだよこれ」
グリ「かっけーなとか思ってはめたらロックされた」
一「えええ?!やばい匂いプンプンしますけど?!」
グリ「そんで放浪してたら…うん、なんかここに辿り着いた」
一「絶対コイツが原因だろ!!危ねーから今すぐ外せ!」
グリ「だからロックかかっちまったっつっただろ」
一「あーもー!どうすんだよ爆発とかしたら?!」
グリ「ギャァギャァうるせーな…そん時はちょっと気持ち悪ィけどザエロの手首パクればいーんじゃねーの?」
一「どんなポジティブ?!」


グリムジョーに思いを寄せる一護としては堪ったものではないが今は祈ることしか出来ない。
とりあえずは出会えたことを素直に喜ぶことにした。

一「いや、まあでも…よかったよ会えて」
グリ「その頭、嫌でも目立つからよぉ…安心したわ」
一「え…」
グリ「ホント、会えてよかった」

微笑む男に頬が火照る。

一(やばいやばいやばい!!え、何これ…脈アリ…なのか?!)

グリ「…?」
一「な、なぁグリムジョー」
グリ「あ?」
一「その……」
グリ「……」
一「……」


〜一護脳内想像〜

一「俺、お前のこと…その…」
グリ「なんだよ、ハッキリ言いやがれ」
一「好きだァアア」
グリ「気持ち悪ィんだよ死ねェェエ」
キュイーン…チュドーン
一「ぎゃー!!!」


一「……な、なんでもねぇ!!!」
グリ「…はぁ?」


そう。一護はヘタレだった。
どこぞの鉄仮面やチョロ毛達の様な孔開き連中とは違いナイーブなのだ。


一「てか!お前その服装はやばくね?!」
グリ「…そーか?」
一「黒の中じゃ白は浮くだろ。…破面なんだぞ、グリムジョーは?!」
グリ「なんでテメェに確認されなきゃなんねーんだよ」
一「だから、お前はここじゃ色々と危ないんだから…変装しなきゃ!」
グリ「はい?!」

一護は路地から顔を出すと、丁度良いタイミングで彷徨いていた死神に近寄る。

一「だらっしゃぃいい」バキャッッ!
「ぐふっっ」バタン…
一「…よし!」
グリ「よし!じゃねーよ!!何してんの?!」
一「何者か知らねぇ奴の死覇装なんかをグリムジョーに着させたくねーけど…仕方ねぇ、我慢してくれ!」
グリ「会話になってない!」


本気の瞳に圧されたグリムジョーは仕方なく二度と着ることのないであろう死覇装を受け取った。

グリ「見張っとけ。こっち見たら殺す」
一「ハイ」
(見たい見たい見たい見たい)

コンさながらだらしない顔の一護を背にグリムジョーは死覇装に腕を通す。


グリ「…はぁ」
一「着たか?」
グリ「…チッ。死神の服を着るたぁ…胸糞悪ィぜ」
一「……」

振り向いた一護は目を見張った。
ルーズに着こなした死覇装、ガッポリとさらけ出された胸板に嫌でも目がいってしまう。

一(ぐっじょぶ!!!!)
グリ「…つーかこの袖邪魔くせぇな」
一(長袖レア!オイシイッッ)
グリ「えいっ」ビリッ
一「うぇええ??!!何しとんじゃい!?」
グリ「邪魔だから破いた」
一「ワイルド!!!」

哀れ死覇装の持ち主。


一「仮面はどうにも出来ないよな…」
グリ「剥がせってか」
一「マスクとかフードがありゃ…」
グリ「…もういいからどっか行こうぜ」
一「よくねぇ!!」
グリ「えっ」ビクッ
一「お前に何かあったら困るだろ!」
グリ「……なっ?!//」
一「…?」
グリ「ちょ、まじ、そうゆう綺麗な感情ヤメテ慣れてないから」
一「虚夜宮どんだけ荒れてんの?!」




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