脱色N

□にゃんということでしょう。
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今日は現世へ降り立っていたウルキオラとグリムジョーの二人。難なく任務を遂行させていた。



ウル「任務完了だ」
グリ「早く虚圏に帰ろーぜ!」
ウル「ああ」

黒腔を開き戻ろうと踵を返す。

「にゃー」

ウル「…グリムジョー、何か言ったか?」
グリ「は?なにも…」

「にゃー」

ウル「やはり何か言ったか?」
グリ「言ってねーって!」
ウル「…そうか」


「うにゃーん」

「「!!」」


「ふにー」

ウル「…こいつの声か…!」
グリ「間違うのおかしいだろ普通!?」


柔らかい鳴き声に振り向くと一匹の猫が捨てられた段ボールの中にちょこんと座っていたのだ。大きな黄色の瞳で二人を見上げる。


「にゃーん」
ウル「捨て猫、というやつか」
グリ「……糞人間が…!」

グリムジョーは舌打ちすると猫の前に乱暴に体を屈ませた。苛々した口調に反し優しい手つきで頭を撫でる。


「にゃあ」
グリ「よしよし…」
「ごろごろ」
グリ「へへ…気持ちいいか?」
「にゃ〜ん」

猫は甘えるようにグリムジョーの指に擦り寄った。喉を鳴らして気持ち良さそうに目を細めるその様に思わず笑みがこぼれる。


グリ「お前の毛、艶々だな」
「にー」
グリ「全身真っ白で雪みてぇ…お前モテるだろ」
「うにゃん」
グリ「照れんなよ」

ウル(…な、んなんだこの可愛い物体達は!!萌え萌えずっきゅんだぞ)


じゃれあう二人に悶える鉄仮面。


グリ「綺麗な目してやがる…」
ウル(貴様も綺麗だ)
グリ「牙もなかなかだな」
ウル(貴様の牙もな)

内心で口説く鉄仮面。


グリ「…こんな可愛いやつを捨てるたぁ…頭消し飛ばしてやりてぇ」
ウル「こいつはメスか?」
グリ「いや、男だ」

ウル(オス?!)

「にゃー」
グリ「男だが…美人な猫だよ」

猫はグリムジョーの指を舐めた。


ウル(なにィイ?!こいつ…男だったのかァア)

グリ「ほんと可愛いなーお前」

ウル(凄いポテンシャルを秘めてるぞこの猫は…!!まさか既にグリムジョーの虜に…?!)

グリ「…なあウルキオラ」
ウル「な、なんだ?」


きゅーんとした表情で見上げてくるグリムジョー。まさかとウルキオラの額に汗が伝う。


グリ「こいつ連れて帰りてぇ…」

ウル(やっぱりィイー!!!)

グリ「可哀想じゃねーか」


ウルキオラの全身の穴という穴から嫉妬と言う名の汗があふれでた。
こんな可愛い物体を連れて帰れば二度と自分の相手などしてくれなくなる。自分だけではない、全ての破面が彼からシャットアウトされてしまう。


ウル「だ、駄目だ!」
グリ「なんでだよー!」
ウル「藍染様がお怒りになる!」
グリ「大丈夫だよ、藍染ふつーに猫好きだし!」
ウル「ね、猫アレルギーの破面がいるかもしれないだろう?!」
グリ「破面にアレルギーあんの?!」
ウル「あ、あるかもしれんっ」
グリ「あったとしてもザエロに治させりゃいーだろ!」
ウル「ザエロにも出来ることと出来ないことが…」

グリ「じゃあいい!俺がこいつと部屋に引きこもって出なけりゃいーんだ」


ぴしゃーん。
一番引き出してはいけない言葉を引き出してしまったウルキオラ君。

ウル「しかし、だなグリムジョー…!」
グリ「…俺、こいつを…」
ウル「?」
グリ「ここに独りぼっちで置いていくなんて、できねーよ…」

ウル(うぉぉぉぉレア顔可愛いいいいい)


滅多に拝見出来ない眉を下げて今にも泣きだしそうなグリムジョーの顔。
ウルキオラの中のなんかよく分からない気持ち悪いサイレンが鳴り響いた。

ウル「テイクアウトしましょうッ!!」
グリ「いーのか?!」
ウル「この際なんでもおk!!!」
グリ「やったぁ!ありがとなウルキオラ!」
ウル「よせやいっ」

別に何もしていないのにオイシイ思いをしたウルキオラと猫を抱き上げ嬉しそうに顔を綻ばすグリムジョーは黒腔の中へと進んでいった。




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