脱色N

□惚れた弱味
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「…ぁあっ…ん、…!」


静粛な白い廊下に熱い吐息と卑猥な水音が響く。


「や、め…っ」
「いいじゃねぇか…?」
「…人、来たらっぁ」
「来ねーって…」


ノイトラは壁にもたれ掛かるグリムジョーの片足を持ち上げ、その秘部を犯し続けていた。


「こんな、とこ…んっ…見られたら…!俺、死んじまう…!」
「誰か来たら殺すから大丈夫だよ」
「んぁあっ!」


嫌がるグリムジョーの話など聞く気もなく、ただ欲望のままに弄くり回すノイトラ。
というより、羞恥に顔を染め目尻に涙を溜める恋人に理性を抑えられないと言った方が正しいのかもしれない。


「部屋で…やれ、よ!」

いやいやとグリムジョーは頭を振る。元々止める気のないノイトラはその半開きの口に指を二本詰め込んだ。

「ひゃっ?!」
「余計なこと考えんな。余計なこと喋んな」
「のい…とあ…っ!!…ひぁあっ」

生理的な涙が頬を伝う。ノイトラの長い舌がそれを掬うと、口角が上がった。


「えろい顔しやがって…あ?」
「はっ…はっ…」
「あー…誰かに見せてやりてぇ…」
「や、やだ…ぁ!」
「ひゃはは!…冗談に決まってんだろ」


涎でてらてらと光る唇に喉を鳴らすと指を引き抜いて口付ける。何度も何度も角度を変えて、互いを貪り求める様に。


「あっ…あぁっ!!」

グリムジョーの自身が音をあげた。ノイトラの上衣に白濁の欲を噴き上げる。


「…!!」
「…てめぇ…」
「わ、わり…ぃっ!」
「……くくっ!」
「……?」

「決めた」


「どうして欲しいかてめぇの口で言わねぇと…シねぇ」


グリムジョーは目を見開いた。行為中、自ら要求の言葉を吐くことなどしたことがなかった。
顔面に熱が集まるのが分かる。言いたくないのは勿論だったが、体は正直だ。
次なる快楽を求め、秘部はヒクヒクと痙攣している。何より、この場から一刻も早く立ち去りたいグリムジョーに強がる余裕はなかった。


「……っ」


「ほし、い…ノイトラが…っ」


悔しさに声を震わせ瞳を濡らすその姿にノイトラの体はびくんと揺れる。


(これ以上は焦らせねぇ、俺が)


ノイトラは下衣を下ろすといっきに最奥へ突き上げた。


「ぁあああっ!!?」

グリムジョーの喘ぎ声が響き渡る。
ノイトラは再びグリムジョーに口付け、両足を持ち上げると何度も何度も突く。


「あっあっ…!」
「くっ…キツ…」

結合部分からボタボタと愛液が滴った。


「もっと、もっと…はぁあんっ!」

ノイトラに抱えられたまま首にすがり付くグリムジョー。顔は汗と涙でぐちゃぐちゃになっていた。


「グリム、ジョー」
「はっあっ…のいとらぁ…」
「っ!」

グリムジョーはノイトラの頬を両手で挟むと唇を押し付ける。予想外の甘い行動に驚いたノイトラが口を開いた瞬間、舌を忍ばせた。なぞって吸い上げ、絡ませる。

獣の如く喰らいついているのにとろける様な妖艶さを醸し出す恋人。攻めていた筈が形勢逆転となっているではないか。

ノイトラの体に電流が走る。


(くそ…!!)

「んっんっ」
「可愛いことしてんじゃ、ねーよ…!!」
「んあああぁ!!」


腰を打つ速度をあげるとグリムジョーの声も更に高さが増していった。
締め付ける内壁に限界が近付く。


「のい、とら!」

眉をハの字に下げるグリムジョー。普段は決して見れない、切なそうで甘い表情。


(ああ、誰にも渡さねぇ。誰にも見せねぇ)


「あっああっ!?」
「…ぐっ…」


どくんと波打つとノイトラは欲望を全てグリムジョーのナカに吐き出した。


「ーーーっ」

グリムジョーはびくびくと体を震わせ、糸の切れた人形の様にノイトラへ倒れ込む。

離さないよう強く抱き締めると、だるい体に鞭を打ち響転でその場を後にした。



***


後始末を終え、ベッドに運ぶとグリムジョーは寝息をたて始める。
ノイトラはその横に腰掛け、男の頬を撫でた。


(この俺が誰かの世話を焼くなんて)


今までの彼ならば楽しんだ相手を廊下に放り捨てていただろうし、況してや後始末などもっての他だった。

こんなに優しく触れることすら出来なかったかもしれない。


全ては愛する彼のため。


「惚れた弱味か」


くつくつと喉で笑う。
今は素直に垂れ下がる前髪をかきあげると額に口付けた。


「好きなんだから、しゃーねぇんだよ」




【 惚れた弱味 】



「……のい…とら」
「…起きたか」
「…もっと、こっち来い…」
「ん」
「もっと…強く、抱き締めろ…」

(くっそ、可愛い)



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