脱色N

□嫌い、嫌い、大好き
1ページ/1ページ




「………」

「おい、」

「…痛っ」

「寝んなよ、俺居るのに」

「悪ぃ」

「テメェのすぐ寝るとこ、腹立つ」

「お前と居ると安心しちまって…ついな」

「…そういうこと言うのもうぜぇ」

「嘘じゃねーよ」

「ちげーよ。こっちは怒ってんのに何クールに褒めて返してんだってことだよ」

「真実を言ったまでだ」

「…本当にうぜーな。口説いてんじゃねーよ、この無自覚たらし」

「…たらし?口下手な俺が?…ははっ!あり得ねぇ。お前を手放すくらいあり得ねぇ」

(…そうゆうのだっつってんだよ!)


「…つーか。無自覚たらしはお前だろ、グリムジョー」

「あぁ?!」

「フェロモン出しすぎ誘いすぎ。女豹かよ」

「ぶっ殺すぞ…!」

「…お前、普段どんだけ俺が大変な思いしてんのかしらねーだろ。必死だぜ、繋ぎ止めておくのに」

「……」

「お前を狙う奴、結構いるからな。…いつか、どこかへ他の奴の所へ行っちまうんじゃないかって…」

「………」

「……ん、どうした。変な顔して」

「……」

「……?」

「…初めて、」

「……」

「初めて、聞いた」

「…そりゃ…言わなかったからな…ガッカリしたかい?」

「…違ぇよ…」

「そうか」

「……テメェは…」

「ああ」

「俺が、汚ぇ言葉や酷い行動で…どんなに罵ろうと、お前、怒らないだろ絶対ェ」

「……」

「何時だって、何も言わずに。大人の余裕みてぇな感じで…」

「……」

「不安で、嫌いだった」

「悪ぃ」

「でも、そんなスタークがかっこよくて、好きだった」

「……聞きたかったぜ、その言葉」

「…は?」

「好き、だよ。お前照れ屋だしひねくれだからなかなか言葉にしてくれねーだろう」

「しょ、しょうがねーじゃん」

「けど、それも全部愛情の裏返しって分かってるぜ」

「ーーうっぜぇ!」

「なぁ、たまにはちゃんと聞かせろよ。俺のどこが好きなんだ」

「…テメェなんか嫌いだっ」

「……」

「笑うな!……し、強いて言うなら…」

「…うん」

「…手」

「は?!」

「刻印…プリメーラの」

「…数字かよ…うわ、すげぇショック…」

「ば、ちげーよ最後まで聞きやがれ!」

「痛っ」

「手の甲なんて一番目立つくせに、俺達みたいにひけらかさないで…わざわざ隠してるだろ」

「あー」

「…そ、そこ…かっこいい。し、その手が俺の身体を這い回るのが…なんつーか…」

「……」

「すげぇ、好き」

「……」

「あと、声も…すっげぇ良いし…仮面が首にあんのも…洒落てるよな」

「……」

「…虚閃の撃ち方も…実はちょっと憧れてたっつーか」

「……」

「…って!はずいこと言わす……スターク?」

「……っ」

「おい、どうし…」

「…み、見んなこっち!」

「えええ」

「…やべー。お前、ホント…最悪」

「な、んだよ!?テメェが言えって、」


「どうしよすげぇ嬉しい」


「!!」

「…いや、俺も照れることあんだな…」

(そういや初めて見た…)

「なんつーか…初めて1の数字貰ってよかったと思った…」

「どんだけだよ!」

「…愛しているぜ、グリムジョー」

「…っ!」

「やっぱりお前が必要だ。束縛は好きじゃねーけど…独りになりたくねぇ」

「………」

「しかも、お前じゃなきゃ駄目だって今一度痛感したよ」

「……そーかよ」


「俺から解放されたきゃ…殺す気できな。セスタエスパーダ、グリムジョー・ジャガージャック」




【 嫌い、嫌い、大好き 】


「…やっぱお前嫌いだ」

「くくっ…そーかよ」

「らしくねーこと言うな、馬鹿プリメーラ」


(やる気を出したお前は、かっこよすぎる)


.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ