脱色N

□ご用心を
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「ぎゃぁああしまったァアア!!??」

「え、何の音だ?サイレン…?」
「ノイトラ逃げろォオオ!!」


…ドォオオン!


「「??!!」」


突如破壊された壁の破片がノイトラの頬をかする。

「え」

「……」
「スターク…!」

煙と共に姿を現したのはスターク。だがいつもの彼からは考えられないほどの禍々しい霊圧が漂っていた。

「……」
コツ、コツ、コツ…

「な、」

無言でノイトラに近づく。


「……っ」
ぐいっ
「うぉっ?!」

「ま、待てスターク!」

「俺の…」
「?!」

「…俺の睡眠を妨害すんじゃねぇええ!!」

「そっちかよォー!!!」

きゅぃいーん

「虚閃ォオ!!」

チュドーォン!!

「ぎゃぁあああ!!!」


間一髪、スタークの虚閃から逃れたノイトラ。焦げた死覇装に背を震わせると叫んだ。

「なにしやがるいきなり?!」
「…あ?!」
「待てよ二人共、これには深い訳が…」
「時間はねぇ!お前を殺して部屋で寝る!」
「お前どんだけ寝てーんだよ?!いい歳した野郎が成長期かァア!」
「いい歳だからこそ沢山寝てぇんだ!てゆーか何もしたくない!」
「引きこもり?!」
「っせぇ!虚閃ォ!!」
チュドーン
「ぁあ危ねぇぇ!おま、キャラ違うぞ!!」
「黙れ時間が勿体ない睡眠時間削られる」
「なんなのほんと!!!」
「スターク落ち着けよ!」
「にゃんこは鮭缶でも食ってろやコラ!」
「ええええ」
「まじで誰だこいつ?!」

地面に転がるノイトラにスタークは跨がる。

「だから!俺がてめーに何した!」
「気持ちよく寝ていたところを無理矢理起こした」
「知らねーよ?!」
「死刑!!!」

きゅいーん…ドォオオン!!!

いゃぁあああぁぁ……


「すまねぇ、ノイトラ…っ」

ノイトラの断末魔を背にグリムジョーは逃げ出した。



「スタークの奴、キャラ変わってたな…」

先程の暴言を思い出し、しゅんとしながら廊下を歩く。

(これ、使わない方がいいんじゃ…)


「私の可愛い可愛いグリムジョー!!何を落ち込んでいるのかなッ?ほらっ遠慮せずパパに話してごぶべらっ」

「うわっ」

月面宙返りをしながら現れた藍染は背後から現れたギンの神鎗(鞘付き)によって射殺された。

「退場すんのはやっ!」
「ごめんなぁ嬢ちゃん」
「あ、市丸…まだこれ押してねぇのに!」
「この人の場合はな、やましい気持ちが霊圧に表れんねん。すぐわかるんよ」
「…そ、そうか」

ギンはニコニコしながら藍染の顔面を踏みにじる。


「あ、あのよ」
「ん?」

グリムジョーは気まずそうにブザーを取り出した。


「これ、使わねぇ方がいいかも」
「あぁシャウロンがくれたやつ?…なして?これがあれば僕ら君を守れるんやで」
「でも…皆に迷惑かかるし」
(てか怖ぇ)

今のグリムジョーに耳と尻尾があれば力なく下に垂れているだろう。ギンは悶える心を抑え、グリムジョーの頭を撫でた。

「優しい子やなぁ」
「や、やめろよ…」
「ふふ…君が嫌なら使わんでもええよ?」
「!」
「そんなんなくたって守ったるから」
「市丸…」

ジィインと心を打たれ歓喜するグリムジョーだったが、はっと我に返るとつーんと視線を反らす。

「だ、誰がお前ぇらなんかに守られっかよ!舐めんじゃねぇぞコラァ!」
(ツンデレの教科書か!)

心中で突っ込むとギンは笑った。顔面血だらけの藍染を掴み手を振る。

「嬢ちゃんの好きにしぃや」
「あぁ!」
「ほな、またね」
「さんきゅー、市丸!!」

満足気に笑うと響転でその場を去った。

「…可愛ぇな〜」




グリムジョーは自宮へと向かっていた。シャウロンにブザーを返すためだ。


「やっぱりこれを使うのはやめるぜ。あいつらに迷惑かけちまうし、死人でるし」


自分が如何に大切に思われているかを実感し、照れ臭さ半分嬉しいのが事実。気持ち悪く言い寄る奴等にもそれなりに相手をしてやろうかと笑うグリムジョーだった。

軽い足取りで自宮へと足を踏み込む。自室へ向かうと扉を開けた。


ガチャッ


「…グリムジョー」

「……」

「待っていたぞ…はぁはぁ」

「……」

「どうした、早く俺の胸に飛び込め…」

「……」


ポチッ…

…ビーーーーー!!!



「「「何してんじゃコルァア!!!」」」


ぎゃぁああああああ




「やっぱ持っておくか」



【 ご用心を 】


「グリムジョー…無事で何よりだ」
「なぁシャウロン」
「はい?」
「ウルキオラ専用の作れっか?」


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