Dream
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>甘笑
放課後、スモーカーの用事を済ませた名無しは鞄を取りに教室へ向かっていたが、その足を止めた。
「……」
扉の前でしゃがんで中を覗き込むローを見つけたからだ。怪しいったらない。
「…何してんの〜ロー」
「シッ」
ちょっと声をかけただけなのに睨んできた。…ただでさえ隈で怖いのに。
手招きするから仕方なくローの隣にしゃがんで囁いた。
「で、何してんの?」
「見ろよ」
薄く開いた扉から教室を覗く。
「…ボニーと…ゾロ?」
ローはくっくっと笑う。
「楽しくなりそうだ…」
「悪趣味…はぁ…」
「名無しだって気になるだろ」
「…気にならないと言えば嘘になる」
「なら黙って見てろ」
ローは他人の色恋沙汰が大好きで今も心底楽しそうに二人を見ている。
「あいつら、前から目星つけてたんだよ」
「…よく見てるね」
「楽しいぜ人間観察」
「ローが言うと気持ち悪い」
「バラすぞ」
「ごめんちゃい」
時間も時間、廊下を通る教師も生徒もあまりいない。ため息をつきつつ私も大人しく見守ることにした。
二人はどうやら話をしてるらしい。
どちらかと言うと甘い雰囲気だ。
「ロロノア屋は鈍感だからな」
「ボニーも不器用そうだもんね」
「ああ」
「焦れったいね〜」
「恋なんてそんなもんだ」
「誰?!」
再び様子を確認すると二人の距離が大分近づいていた。
「おお!いい感じ!」
なんか興奮してきた。
私はボニーもゾロも好きだし、あの二人には是非とも幸せになってほしい。
「キスしちゃえっ」
「名無し、」
「ん?」
「写メ準備」
「それは駄目!」
「いいだろ。折角だから麦わら屋とユースタス屋にも見せてやろーぜ」
「駄目!可哀想!私なら嫌だもん」
「キスしてやるから」
「それどっちにしろ得すんのお前だろ!」
「ちっ」
とかやってる内に二人はどんどんイイ感じに。
いいぞいいぞ、この調子で親密度を…!
「ヤバくないヤバくない?!」
「ヤベー…ありゃまじで…」
「おうゾロー!探したぞ、ミホーク先生が呼んでる!」
「「っ?!」」
「「ル、ルフィ(麦わら屋)?!」」
「…あり、ボニーまで一緒じゃねーか」
え、ちょ、な…まさかの…
ルフィ乱入??!!!
「…あンの馬鹿が…!」
「ルフィ〜戻ってきてぇぇ!」
「どーしたんだよお前ら?いつもは喧嘩ばっかしてんのに〜」
「…っ」
「うるせーな」
「〜どけアホ助!!!」
「うぉわっ」
ボニーは私達にすら気付かないくらい全力疾走で教室を出ていってしまった。
「あっぶねーなアイツ〜?」
「おいルフィ、鷹の目が呼んでたって?」
「おう!怒ってたぞ」
「やべー。早く部活行かねーと…」
「じゃーなゾロ!」
ゾロは荷物を掴むと扉へ向かう。
私達は急いで離れる。
するとそのまま部室へと駆けていった。
「麦わら屋ァ!!」
「お?ローじゃねーか!」
「お前、本っ当、まじ、」
「??」
ローはあーもーとか言いながら教室へ入ったから、私もそれにつづいた。
「名無し!」
「…ルフィ…」
「なんだよお前ら、こえー顔して」
「本当に空気読めねーな!!」
「いってぇ!」
「ちょ、ロー…!」
「なんだよいきなりー?!」
「うるせー、折角面白くなってきたのに…」
「…何の話だ?」
「…うん、ちょっとね…」
あのローが珍しくイラついてる。
…どんだけ楽しみにしてたんだ…
「…もしかして俺、二人の邪魔した?」
「!」
ルフィが…自分で気付くなんて!
「そ、そうなのルフィ」
「そっか…わりーことしたなぁ」
「…麦わら屋、成長したな」
「俺、最低だな…」
「決闘の最中に割り込むなんて…!」
「「……ん?」」
「…そりゃボニーも怒るよな。大事な決闘を邪魔されたら…」
ル…ルフィ…
「駄目だ…」
「…やっぱ麦わら屋には無理だ」
「…うん…」
恋愛?それって食えんのか?
「麦わら屋、俺の楽しみを奪った罰として晩飯おごれ」
「えぇっ?!」
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