脱色N

□melt
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ずるずるずる。


「………」


ずるずるずるずる。


「…………」


ずるずるずるずるずるずる。



「……おい」

「ん??」

「…いい加減にしろよ。邪魔」


虚夜宮の長い廊下をグリムジョーは腰にギンを引きずりながら歩いていた。



「…邪魔って!」

「重いし、歩き辛ぇし…。離せ」

「嫌やぁ」

「…テメェ…っ」


ぎゅぅぅうう

ギンはその括れを放すどころか、先程よりさらにきつく抱きつく。グリムジョーは額に青筋を浮かべた。


「…これがテメェじゃねー別の野郎だったらすでに脳天カチ割ってるぜ」

「その前に僕が殺しとるよ!」

「……そーだな」


屈託の無い笑顔で“殺す”などと言わないでほしいと思ったグリムジョーだった。

(あ、こいつに言っても無駄だわ)


「…先に仕事終わらせるぞ。そしたら文句も言われずゆっくり出来んだろーが?」

「………」

「な?」

「………」


今まではあからさまに甘えてくることなど一度もなかったギン。不思議に思ったグリムジョーは珍しく優しい声色で諭してやったが一向に放す気配がない。

ため息を吐くと銀色の髪が揺れた。


「……構ってくれへんやん…」

「…は?」

「いっつも…僕ばっかや」

「なにが」

「…会いに行くのも構うのも…僕の方や」


「僕ばっか、君のこと好きみたいやん…」


グリムジョーは目を見開いた。
いつも何を考えているのか分からない見えない仮面をつけて薄く笑っているこの男が、眉を、口角を下げて心情を打ち明かしているのだ。



「…僕、ジョーちゃんとずーっと一緒に居たいんやもん…一時も離れたない。せやから、この手、放したないねん…」


きゅぅっと顔をグリムジョーの腰に押付け小さく呟いた。


「ーーっ」


いつもと違う彼の様子に呆れを通りこし、愛おしさがこみ上げる。


「ずーっと…一緒に、居よな?」



揺れる紅い瞳。
気づけばグリムジョーはギンに覆い被さり身体を抱き締めていた。肩が震えている。
ぎゅっと死魄装を掴んでやると強く抱き返された。
二人の体温が、溶け合う。



「ばーか…不安なら…首輪でもつけとけ」



【 melt 】


このまま溶けて
一緒になりたい


_________________
まさかの市グリ\(^q^)/

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