脱色N

□初体験、嗚呼大変
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俺様は今、二つの青い宝石に見つめられている。


(お、おお、おいいい!!近い近い近い!!!)


「……」


事の発端は数分前。
窓から一人の男が侵入してきたところから始まった。その男は一護との知り合いらしく、そういえば最近やたらと人の出入りが多いと思えばどうやらそれは同一人物で、この男だったようだ。

男は部屋の主がいないことに気づき、顔を歪めたが、結局土足で一護の部屋に入ってきた。暇そうに辺りを見渡していると俺様に気づき…今に至る。



「……」

じーっと見つめられる。

(やばい)

…何がやばいって?


( この方、色気ムンムン!!! )


おいおい勘弁しろよ!俺様、野郎は大が百個付くくらい嫌いなんだ!!どうせ来んならもっと素敵な可愛い子ちゃんがよかったのに…!

のに!

なんなんだこの人?!性別を超越した美しさを纏ってやがる!!


透き通った空みたいな瞳から送られる熱い視線、半開きの口から覗く赤い舌…

(色気駄々漏れぇぇええ)


「…なんだ、こりゃ」

うぉぉ…低温ボイス!エロス!!
やべーよこんな声で囁かれたらどんな上玉もイチコロだよ!


「……」
(うぉっ?!)

素敵お兄様が俺様をお掴みになった!
骨張った手、細長い指…その爪でなら引き裂かれたい!!!


「……」
ぷにっ

「や、やわらけー…っ」


可愛いいいいい!!やめろ!そんな目で俺様を見ないでくれ!死んぢまうぅぅぅ

(ん?)

お兄様の綺麗なお顔が俺様に近付いて…?


「……」クンクン

(ぬぉおおお??!!!)

匂い嗅いでる!!やべーよ何か壊れそう!!

「……」ペロリ

え?

(ぎゃぁああああ)

お兄様に舐められたぁああ!!!!
俺、もう、死ねる!!
ぐっばい、一護…

「……」ガブッ
「ってぁああああ痛い痛い痛い痛いぃい」
「うわっ?!」


しまったァアア!!あまりの痛さに声出しちまった!!!


「しゃ、喋った…?」
「……」
「……」ツンツン
「……ッ」
「な、なんなんだこりゃ…!」


ガチャッ
「ふぅー…ってうぉぉグリムジョー?!」
「っ?!び、びびらせんじゃねーよ!!」
「こっちの台詞だ!何霊圧消してんだよわかんねーよ!つーか靴ぅぅ脱げぇぇ」
「るっせーな帰ってくるなり…!」


一護のおかげで助かったぁあ!
あのまま俺の正体見破られてたら消されていた気がするぜ!!何故だろう!!


「…ん?お前、それ…」
「あ?…そうだ、これ、なんだよ?」


うぉぃいいい糞一護ォオオ話を俺様に振るなァアア


「なんだよって…ぬいぐるみ、知らねーのかよ?」
「は、初めて触った…つか、こいつって喋れんのか?」
「……」

ポカーンとしていた一護は意味を理解したらしく笑った。
(俺様はこいつのよりお兄様の笑顔を見てみたい)


「ぬいぐるみは喋らねーよ!でもそれ、ただのぬいぐるみじゃねーから」
「は?」
「おい、コン。お前何時まで黙ってるつもりだよ?」
「……」
「あれか、グリムジョーにびびって…」
「るせぇ一護ォオ!!」
「?!」


腹をくくったイケメンな俺様はさっと立ち上がると一護に飛び掛かった。お兄様は驚いて目を見開いている。か、可愛い…


「しゃ、喋った…動いた!」
「コン、こいつグリムジョー。破面」
「あ、あ、破面ぅ?!」


おぃいいい殺されるとこだったよまじで?!
つか、なんで破面が?!そーいえば確かに仮面あるしセクシーな腹部には孔もある!


「大丈夫だよ、こいつは」
「そ、そうか!」
「グリムジョー、こいつはコンっつって…」
「こんにちはお兄様ァア〜こんな美しいお方に出会えるなんて俺様はなんてついてるんだ!!」
「うわっ、引っ付くな!!」ビタンッ
「ぶっ」


て、手厳しいとこも…素敵っす…


「う、うぜぇこいつ…」
「ガーン!!!」
「な、何してんだコン?!お前男は…」
「うるせーうるせー!!このお方はちげーんだ!てめぇみたいな糞野郎と一緒にすんなっ!」
「は、はぁー?!まさか…お前!」ガシッ
「ぐえっ」

一護は俺様の首を掴むとお兄様に背を向ける。

「グリムジョーのこと…?!」
「放せコルァア!お兄様が悪ぃんだ!あんなにセクシャルだから!」
「ふっざけんな!グリムジョーは俺の…」

「なにコソコソ話してんだよ」

「「なんでもないっす!!」」


こっわ!お兄様こっわ!!
でも眉間に皺寄って睨んでんのになんであんな色気があんだ!自動色気製造機か?!


「グリムジョー!いいか、もうコンとは…」
「そいつ、可愛いな」
「「え」」
「ライオンだろ、そいつ。可愛い」


神様仏様お兄様ァアア
…勝った!!一護に勝ったァアア!!

今まで報われなかったのは…今日、この日のために…ぐすっ


「お、お前な!いくら猫科だからって…!」
「猫科ぁ?」
「こいつ、元々豹なんだよ!」
「ぬぅわぁんだってぇぇ?!」

うぉいいい!
このままで十分すぎるくらいエロかわなのに…猫耳がオプションだとぉおお?!

核兵器かァアアーーー!!!

「つまりお仲間ってわけですねお兄様ぁ〜これもきっと運m」
「けど鬱陶しいから近づくな」

ばすっ

「……」


…そりゃないっすよ…!




【 初体験、嗚呼大変 】


「グリムジョーは俺のだからな!」
「ばっ…死ね黒崎!」
((照れた…!))

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コンうるさいね

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