脱色N

□真意をつきとめろ!
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ガチャッ

「…おい女ァ…!」

「はっはい!!」

ドスの利いた声に振り向くと、グリムジョー君がいた。声の割りに表情は怒ってなくて、寧ろ疲れた顔をしていた。

「ウルキオラ、いねぇか」
「…!」


…実は今、そのウルキオラ君を匿っている。遡るはほんの数十分前…



『…はぁ』
『ウルキオラ君、大丈夫?なんだか悲しそうだけど…』
『…だ、黙れ…そんな感情に蝕まれる程俺は堕ちていない…』
『…そ、そっか。ごめんなさい』
『……』ズーン
『……』
『……』ズーン
『あの、やっぱり悩んでるじゃ…』
『ぐっ』
『私で良ければ相談にのるよ?』
『ぐすっ』
『よしよし』ナデナデ
『…グリムジョーは…俺が嫌いなんだろうか…』
『グリムジョー君…?』
『…物凄く冷たい…』
『それは…グリムジョー君の性格?というか…』
『他の奴とは仲良くしているのにか』
『…た、例えば?』
『従属官は勿論…スターク、バラガン、ハリベル…ノイトラや市丸様も、か…』
『…ノイトラさんは分からないけど…他の四人はこう…包容力があるというか…』
『……』
『きっと親鳥の心境なんだよ!』←失礼
『…成る程。では俺には無理なのか…?』
『そんなことないよ!優しく接すれば…』
『すればする程…奴は牙を剥く…』
『…う…』
『…やはり嫌われているのか』
『違うよ!』
『…!!まずい』
『?』
『グリムジョーがこちらへ向かってきている!女!俺がいることは黙っていろ!』サッ
『えっ?!待ってウルキオラ君〜…隠れちゃった…』



…というわけなのです。
よく分からないけど、とりあえずウルキオラ君のことは言えない。


「い、いないよ?」
「っかしーな…霊圧感じんだけど…」
「どうしたの?」
「あ?…藍染が呼んでんだ。ったく、なんで俺が…」

だから疲れた顔をしてたのかぁ。

「はぁ…」
「……」

…いいこと考えた!

「グリムジョー君!」
「あ?」
「ちょっとお茶でも飲んでいってよ!」
「はぁ?!なんでだよ!」
「お話しよ?」
「ざけんな!んなことしてる暇…」
「あ!こんな所に最高級ツナ缶が!」
「何から話そうか」

(ふふふ)


ソファに腰掛けた猫舌グリムジョー君に微温めのお茶を出してあげた。(誉められちゃった!)


「…あのさ?」
「あんだ」
「グリムジョー君は…ウルキオラ君のこと嫌い…なの?」
「…はい?!」

単刀直入すぎたかな?!

「その…見てて思ったから…」
「…てめーには関係ねー話だろ」
「う…」
「……」
「ごめんなさい…」
「…謝んな、胸糞悪ぃ…」

作戦失敗…?折角ウルキオラ君の力になれると思ったのに…。


「なんでだよ?」

結局話してくれる彼はやっぱり優しいと思う。


「…うーん…なんか…ウルキオラ君への態度が他の十刃の人達と違うなって」
「……」
「シャウロンさんやハリベルさん達は何となく分かるの」
「世話焼きだからな、あいつら」

目を細めたグリムジョー君は笑っていた。皆のこと、大好きなんだね。

「ノイトラさんは?」
「あいつは…悪友?みたいな。べ、別に好きじゃねーぞ!」
(…好きなんだね!)ホンワカ
「じゃあウルキオラ君は?」
「……」

グリムジョー君はカップを見つめながら眉間に皺を寄せていた。


「あいつ変人だから軽くあしらってんの」
「変…人」
「しつけーんだよな!キモいし!」
(ウ、ウルキオラ君…)
「見下した態度がイライラする」


バン!

「「!!」」

「……」

ウルキオラ君が出てきてしまった…!


「てめー!いるじゃねーか!」
「……」
「お前ら一体どういう…っ!」

大声を張り上げたグリムジョー君は今までの会話を思い出したのか、言葉を切った。


「そういうことかよ…」
「ま、待ってグリムジョー君!ただ…」
「女、もういい…」
「でも、」
「奴の気持ちは分かった…」

ウルキオラ君は目を伏せると扉まで歩み寄った。

「グリムジョー、」
「!」
「すまない」

待ってウルキオラ君、まだ話は全部聞いてないよ!だから…

「待てよ馬鹿が!」
「「!」」

気付けばグリムジョー君はウルキオラ君の目の前に立っていた。

「すまないってなんだよ!」
「…貴様に嫌な思いをさせていたことにだ」
「…別に…嫌だとは言ってねーだろ!!」
「!」
「そりゃお前の変態行為には困ってるけど……ただ…、」

ただ…?

「お前の存在は…近いから、隣に感じるから…!つい突っぱねちまうだけだ!!」

(…グリムジョー君!)

「嫌いだったら話さねーよ。こうやって触らねぇよ」
「……」
「とっくに穴空きにしてる!」

…さらっと怖いこと言った…


「だから…んならしくねぇ顔すんじゃねー!キショいんだよ!!」
「グリムジョー…」
「ちっ!…藍染がてめーを呼んでた。さっさと消えろ」
「…ああ!」


この二人はなんて可愛いんだろう…っ


「女、世話になった」
「ううん!よかったね!!」
「ふん」


段々、ウルキオラ君の鉄仮面にも表情があるのが分かってきたよ!

嬉しそうな顔になってよかった…!



【 真意をつきとめろ! 】


「グリムジョー君はツンデレなんだね!」
「うるせー!」
「ふふふ」
「…礼は言っとく」
「ツ、ツンデレ!」

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