Dream2

□モノポリスト
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「お前は礼儀だけでなく椅子の座り方さえ親に習わなかったのか」
「いやァ…こんな小せェ組み木を椅子だとは思わなかった」

召集して最初に交わされた会話がこれだった。途端に空気は悪くなり、同席していた将校や見張りの海兵はたまらず帽子のつばをぐぐっと下げ、俯く。


「早く用件を話して終わらせろ!」
「…なんだと?」
「ん?!来てやってるんだから文句はねーだろ?キシシシ!」

続く七武海の無礼にセンゴクのこめかみには青筋が浮かぶ。

「早く終わらせたいのは皆一緒さ。いがみ合いは止してくれよ、お前ら」

ため息をつくおつるが視界の端に映り、センゴクはやむを得ず本題を進めるべく口を開いた。



「相変わらずつまんねー集会だったな!」
「暇じゃァなけりゃ来なかったぜ」
「時間の無駄とは分かっていたが」
「…鷹の目お前最後寝てたじゃねぇか…」

各々が文句を溢しながら部屋を退出する。

「帰るのも面倒だ…」
「クロコダイル!お前が来るとは意外だったぞ!」
「…てめぇに言われたくねーよ」
「キシシ!違いねー!!」

「失礼いたします!お帰りの船をお出しいたしますが、ご乗船される方は?」
「…よかったじゃねェかワニ野郎!フッフッフ!」
「海軍の船なんざ胸糞悪くて乗ってられねぇ…が、いち早く帰る必要がある」
「キシシ!なら俺も同席するか!」
「ふん…おい鷹の目、」
「俺はイカダを漕いで帰る」
「馬鹿乗ってけ!」
「フッフッフ!!そう言うと思ったぜ!」
「…そ、それでは四名全員で宜しいですね?」
「おっと待ちな。俺は乗らねェ、迎えが来てる」
「了解致しました!ではお三方はこちらへ」

海兵がスタスタと歩いていく中、三人は歩き出しもせずにドフラミンゴを凝視する。

「…あァ?早く行けよお前ェら」
「…お前が迎えか…気持ち悪ぃ」
「フッフ!好きに言いやがれ」
「「「……」」」

いつもなら噛みつき返す筈の男が笑顔でそれを受け流し「じゃあな」と颯爽に背を向け去るその後ろ姿に、三人はあんぐりと口を開け呆然とするしかなかった。

「…ありゃあ…」
「何かあるな!」
「あるな」



ドフラミンゴが船津へ辿り着くと海兵の塊が出来ていた。どうやら誰かが何かやらかしたらしく、海兵に取り抑えられている。
鼻で笑い通り過ぎようとしたのだが、その人だかりの真ん中にいるのがあまりによく知りすぎた人間だったため、ドフラミンゴは眉間に皺を寄せてそちらへ向かった。


「大人しくしろ!」
「…おい」
「…はっ!ドンキホーテ・ドフラミンゴ様?!お邪魔でしたか、すいません!」
「なにしてやがる」
「いえ、見知らぬ海賊がいきなり暴れだしたものでして…」
「退け」
「え?」
「そいつは俺んだ…手ェ出すんじゃねェ」
「!!」

うわぁ!、という叫び声と共に囲んでいた海兵達は吹っ飛ぶ。

「…え、な、なにごと…?」
「名無し」
「っ!ドフラミンゴさん!!」

地面に座り込んでいた女はにこりと微笑んだ。

「お帰りなさい!」
「何があった」
「あ、いや…その…」
「…」
「…海兵に喧嘩売られたから…つい」
「喧嘩だァ?」
「…ごめんなさい」
「……」
「…尊敬してる人を貶されるのは…悔しいです…から…」

話を察したドフラミンゴは立ち上がり、海兵達を一瞥。

「海賊である以上、正義だ何だを掲げるご苦労なお前ェらに何を言われても…文句は言えねェ。…が、」
「ーーひっ?!」

「手前ェのモンに手ェ出されちゃァ黙ってられねェよなァ…オイ?!」
「ま、待って下さっ…うわああ!!」
「やめろ!何をする?!」
「俺じゃないんだ!」
「ぐっ!誰か止めろォ!!」

「フッフッフ!!」
「…あわわ…」
「行くぞ名無し!」
「はっはい!!」

海軍船を横切り迎えの船へと向かうドフラミンゴを、名無しは急いで立ち上がり追った。
が、暫くして立ち止まったかと思うといきなり振り向く。

「あれ、どうしましたか!」
「来い」

手招く意味が分からず首を傾げながらも走り寄る。なんでしょう、と口を開こうとした途端、その男からの熱い接吻。
そして唇を離したと同時にへなへなと腰を折る名無しを片腕で支え、何故かドフラミンゴは上の方を見上げて笑った。




【 モノポリスト 】


「…ドンキホーテの機嫌が良かったのはこのためか」
「あの鳥野郎が一人の女に執着するとはな…」
「キシシ!そうじゃねーだろお前ら!」
「……」
「……」
「「「見せつけてくれるじゃねぇかあの野郎!!」」」


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最後の方の解説を加えますと…海軍船に乗った三人に自慢する為にイチャついた訳ですよ。ですから上を見上げ、というのは船の上に立つ三人を見てってことです(^ω^)うふ

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