記念小説
□スイートスキャンダル!
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一護が六番隊隊舎に着くと、待っていたかのように六番隊隊員から隊舎の裏にある鍛錬場に行くよう言われた。
隊員の酷く怯えた態度に、おそらく事情を知った白哉と恋次の機嫌が悪いのだろうと一護は思った。
仕方がない、一番自分が望まぬ展開だが怒られる覚悟は出来ている。
ここは潔く謝るしかない。
そう真摯な気持ちで鍛錬場に向かった一護だったが、その場には仁王立ちで立ち尽くす白哉と恋次の姿があった。
「よ、よう、白哉、恋次」
既に臨戦態勢とでもいう二人の鬼の形相に、一護はなるべく友好的に手を振った。
引きつりながらもへらりと笑う一護に、白哉と恋次の霊圧が跳ね上がる。
その怒りのオーラを纏った霊圧に一護はたらりと冷や汗をかいた。
自分が思っていた以上に二人の怒りは大きいようだ。
「・・・兄にひとつ問う。何をしに此処へ来た?」
「何って・・えっと、ルキアに会いに・・・」
「会ってどうするというのだ?」
「そりゃ・・・知ってんだろ、俺がルキアにしたこと・・・。ルキアに謝りに来たんだよ」
「―――ほう、ではやはりルキアにした事は間違いないのだな・・・?」
「ああ、その事は本当に悪かったって思ってるよ。だから・・・」
「悪かった・・だと・・!?」
「許さぬ・・黒崎一護・・!」
白哉と恋次の怒りの霊圧が爆発した。
問答無用で斬りかかって来る二人に押されながらも何とか応戦する。
激しい攻撃を何とかかわすのがやっと。ちょっとでも気を抜けばやられる。
というか、これ本気で仕留めようとしていないか?
怒りとか、殺気とかだけじゃなくて、明確な殺意―――。
「ちょ・・ま、待てよ・・!幾らなんでもこんなのやり過ぎだろうが!」
「やり過ぎだあ?この野郎・・何甘い事ぬかしてやがる!」
「当然の報いだ、その身をもって受けるがよい・・!」
「卍解・・狒狒王蛇尾丸!」
「卍解・・千本桜影厳!」
「ま、まじかよ!?」始解を通り越して刀を解放した二人に対抗するため、というかしないと確実に殺される・・!
自分の身を護る為、一護も卍解した。
しかもいくらこちらが卍解したといっても卍解状態の相手二人はきつ過ぎる。
何でこんな目に・・。確かに自分が悪い。ルキアを傷付けた。
ルキアを大切に思うこの二人から制裁を受けるかもしれないだろうと、それを含め怒られる覚悟はあった。だけど自ら非を素直に認め、謝罪しに来た人間に対して幾らなんでもこんな対応・・・。
追い詰められた一護はだんだんと怒りが沸いて来た。
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