記念小説
□寅・トラ・ネコ!
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「・・・なるほどな。だから眠かったんだな・・・虎だけど猫だけに」
やっと事の重大さを認識したらしいルキアが青い顔をした。
技術開発局の奇人変人が造ったアイテムにあの乱菊さんが一枚噛んでるんだ。
「わ、私は元の姿に戻れるのだろうか・・・」
一護は使用説明書を見直した。
「大丈夫みたいだぞ。下の方に効能は6時間ぐらいって書いてある」
「ほ、本当か!?よ、よかった〜」
ルキアはほっと胸を撫で下ろした。
「ところでさ、こっちの小袋には何が入って
んだ?」
大体の状況も把握できて余裕も生まれ、だんだん興味が湧いてきた俺はその小袋を開けてみた。
「何だこれ?」
中に入っていたのは猫じゃらしのおもちゃと小さなボールとぬいぐるみ。
これも何か特殊な機能でも付いているんだろうか?
観察するように一護は猫じゃらしをかざしたり振ったりしてみた。
特にこれといって変わったことはないけれど・・・
いや、あった。
目の前のルキアの様子がおかしい。
うずうずと体を小刻みに動かして、視線が猫じゃらしの先端を追って離れない。
あれ、これって・・・
一護は猫じゃらしを横に大きく振ってみた。
たまらずルキアがそれを捕まえようとして手を出して来た・・・猫のように。
もしかしなくても猫じゃらしにじゃれている・・!?
一護は左右上下、あるいはじらすように猫じゃらしをルキアの前で振って見せた。
ルキアは片手で、あるいは両手で奪おうとやっきになっている。
お、おもしろい・・!
俺は最大限にじらしてみた。
すると、ルキアも最後の大勝負とばかりに猫じゃらしに体中の神経を集中させた。
目は猫じゃらしから一片も離さず、頭を低くし、高く持ち上げたお尻の先で長い尻尾がゆらゆらとリズムをとっている。
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