記念小説

□ハッピーチャッピーイヤー
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それなのに、なんでまた―――



「―――今回の新作が干支に因んでうさぎだったのだ・・・」


「ああ・・」


それでうっかり着てしまったと・・・。

ルキアも、着た結果の予想は出来ていただろうが、愛しいうさぎの誘惑に負けてしまったのだろう。


それにしても・・・。


前回の虎は首の下からすっぽりと全身着ぐるみだったのに対し、今回のうさぎはちょっと違う。

長いうさ耳はいいとして・・。

そう、今回のうさぎは全身着ぐるみではなかった。

毛皮が、上はチューブトップのように胸を覆う部分と、下はローライズなホットパンツ。
脚はニーハイブーツのような膝上までで、肉球をつけた手袋をはめているような手先の部分仕様。



やけに露出度高くねえ・・!?



かわいいけど・・・。

ふわふわの白いうさぎ毛は手触りよさそうだけど・・・。


触りたい欲求に駆られる。



「・・・ルキア、毛皮触らせて?」

「何処を触るというのだ、この助平・・・!」


ルキアに睨まれて、伸ばしかけた手を止める。

確かに、毛皮部分はおいそれと撫でることが許されない領域がほとんどだった。



「・・・じゃ、耳だけでもいいから」

「・・・ちょっとだけだぞ?」


目の前のうさぎの柔らかそうな毛皮にどうしても触れたくて、せめてもの妥協案。
渋々ながらルキアの了承を得た俺は、ドキドキしながらその長い耳にそっと触れる。

耳部分は他の処に比べ毛量は少ないが、それでも柔らかい。

触り心地が気持ちよくて、耳に沿って指をつっ、と滑らす。


「ひゃあ・・!やっ・・ダメ・・!」


途端、ビクンと耳を震わせ、ルキアが赤い顔をして奇声を上げた。


「えっ、ルキア!?」


「ダメだ、やっぱり触るな・・!耳・・くすぐったくて・・・」


くすぐったい?それにしてもやけに敏感過ぎて、どうも様子がおかしい。


そういえば前回の虎改め猫の着ぐるみの説明書に、バージョン違いの着ぐるみも近日発売予定とか書いてあった。確かそれぞれ特性が違っていたはずだ。

それならばこのうさぎバージョンも何か特性があるのかもしれない。



「ルキア、この着ぐるみの説明書はあるか?」


「あ、ああ確かここに・・・」



ルキアは袋から紙を取り出して一護に渡した。



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