記念小説
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これは、ルキアが現世にやって来て間もなく、一護の部屋の押入れ居候を始めたばかりの、まだ現世の事をよく知らなかった頃のお話―――
第一章 パンツの休日
「一護!ちょっと相談があるのだが・・・」
「相談?」
「ああ、これなのだが、選んでほしいのだ」
ルキアが真剣な顔で一護に一冊の雑誌を渡した。
その雑誌を見て、一護の手がわなわなと震えた。
「ルキア・・・これ・・・」
「うむ、パンツだ」
そう、それは女性下着の通販カタログ。
「ちょっと待て・・さっきてめえ何て言った!?」
「うむ、だから一緒にどれがいいか選んでほしいのだ」
ルキアはそう言うと一護の隣に座ってさっそくページを捲り始めた。
「まてまてまて、何で俺がそんなもん選ばなきゃなんねえんだ!?」
「生憎私は現世のこういった物の事情に詳しくないのだ。どれがよいのか分からなくてな。浦原が一護なら現在の流行りも詳しいだろうから相談してみろ、と言われたのだ」
『あの野郎・・!』
一護は心の中で毒づいた。間違いなくあの悪徳商人に遊ばれている事にルキア本人はまったく気が付いていない。
気が付いていないばかりか何だか妙に嬉しそうだ。
「よく分からぬが、こんな色々な形や柄のかわいらしい物を現世では下に身に付けるのだな」
・・・ああ、そういう事か。
死神の世界の事なんかまるで分からないけど、こういう処、こいつも「女子」なんだな。ともかくかわいいものに目がないという処が――。
「で、どんな物がいいのだ?」
だからって、そんな事聞かれても困る。
「――知らねえよ、自分で選べばいいじゃねえか」
「よく分からぬから相談しておるのではないか。ちゃんと一緒に選んでくれ」
ぺらぺらと捲って見せられたページには確かに色々な下着が載せられていた。
しかし実際、女性の下着なんかに詳しい訳がなく・・・詳しかったら変態か水色だ。
それにしても、なんつーか女性の下着って華やかっていうか・・・。
いけない物を見ているような背徳感と、年頃の男子として興味の狭間で、何となく遠目で見ていた一護は、ページの所々に何かしるしがしてある事に気付いた。
「ルキア、その赤いしるしは何だ?」
「ああ、これか。これは浦原のお勧めだそうだ。そうだな、一護が分からなければそれから選ぼうかな・・」
「・・・えっ?」
Tバック、ヒモ、総レース、シースルー・・・浦原のしるしの付けたものはどれもきわどいものばかりだった。
「あんのエロ下駄帽子・・・!」
「一護?」
「くそ・・。貸せルキア、俺が選ぶ!」
勢いに任せて一護はざっと目を通し、無難そうなものを素早く選んだ。
「ありがとう一護!さっそく浦原の処に行って注文してくるぞ!」
ルキアは喜んで浦原商店へ出掛けて行った。
残された一護は、一気にどっと疲れが押し寄せてへたりこんだ。
何だったのだ、今のやり取りは・・・。何で俺、女子の下着何か選んでんだ・・?
いや、あれはとりあえず女子だが人間じゃない、死神だ・・!
そう思い込もうとした一護はいらない事に気が付いてしまった。
・・・・って、待て。あれ?着物って確か昔は下着とか付けなかったんじゃなかったっけ?
あいつ、今更あんなパンツとか選んでたけど、もしかして履いていない・・なんてことないだろうな!?
まさか・・・ひょっとすると今までノーパ・・・!
ありえないと否定しながらも、自分の妄想で顔を真っ赤に染める純情少年がここにひとーり。
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