記念小説
□例えばこんなプロポーズ
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別れは全ての事が終わった後だった。
いろいろな事があったが、全てが正常に戻った今。
現世へ、井上と石田とチャドと、そして・・・一護が帰って行ったのは当然の事だ。
彼らの居場所は、そこなのだから。
最期の別れの言葉は、
“ありがとう”“元気で”“がんばれ”そして・・・“さよなら”と“またな”
・・・もう、少なくともおいそれとは会えない事を皆、知っていたけれど。
最後に絡んだ一護との視線。
一護は何か言いたげだったが、結局何も言わなかった。
私も、何も言えなかった。
何を言いたかったのか、それすらも分かってはいなかったけれど・・・。
どうしてか揺らぐ心にそっと蓋をして、もう一度“さよなら”と笑顔で見送った。
それから、一度も会う事もなく七年の時が過ぎた。
瓦解寸前まで追い込まれていたソウル・ソサエティも完全に復興を遂げ、以前の活気ある姿を取り戻していた。
変化はいろいろあった。
山本総隊長の引退。
空席になっていた隊長席を埋めるため、大々的な人事があった。
一番隊、兼新総隊長には八番隊から昇格・移動した享楽が就任した。
恋次は六番隊副隊長から五番隊隊長に昇格。
元仮面の軍勢の隊長格が死神として復帰し、三番隊はローズ。八番隊はラブ。九番隊は拳西が隊長として就任した。
平子は要請を辞退。
その大きな人事から見れば極小さな事ではあるが、十三番隊隊士・朽木ルキアも念願の席官入りを果たした。
そうして、各自が新しい立場になり、忙しく任務をこなす中ひとつのめでたい知らせが報じられた。
十番隊隊長・日番谷冬獅朗と、五番隊副隊長・雛森桃の結婚が決まったという発表。
護挺十三隊の中核である隊長、副隊長の婚礼という事と、復興の象徴として婚礼の儀はソウル・ソサエティを挙げての祝いとなった。
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