記念小説
□寅・トラ・ネコ!
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一護は自分のベッドの上に奇妙なものを見付けた。
虎模様・・の丸いもの。
最初はまるまった寝姿の虎のぬいぐるみかなにかだと思った。
(遊子のぬいぐるみか?)
まったくこんな大きなぬいぐるみ・・ちょっとした人一人分ぐらいの大きさじゃないか・・。
そんな風に思っていたら、突然それがもぞりと動いた。
案外吃驚してしまった自分をちょっぴり恥ずかしく感じながら、一護は改めて虎のぬいぐるみだと思っていたものを見た。
それは、虎にはちがいなかったが――
「ルキア!?」
頭こそ虎耳だけだが、首から下は虎の着ぐるみ・・というよりボディースーツに近いものを見に付けたルキアが、眠気眼の瞳をこちらに向けた。
「おお一護。帰ったのか」
「帰ったかじゃねーよ。なんだよその格好は!?」
「これか?これは貰いものなのだが・・・。年末、ソウル・ソサエティーに報告の為帰っただろう?
その時、松本副隊長に誘われて忘年会なるものに参加したのだ。余興でクジ引きゲームがあってな。ええっと・・びんご?とかいったかな?それで、その時この着ぐるみを貰ったのだ」
「・・・へえ〜」
俺は薄っすら遠い目をした。
そうだ、確かに年末こいつはあっちに帰っていた。年の瀬だというのに大変だよなとか同情してたのに。
仕事しているかと思いきや、遊んでたのかこいつ・・。
「それは楽しそうでよかったな。その着ぐるみもあったかそうでナニヨリダ」
「なんだ、何か引っかかる言い方だな・・。まあよい、そうなのだ。貰った事をすっかり忘れていたのだが、今日の寒さで思いだしてな。防寒の部屋着としてはあったかいだろうと思って取り合えず着てみたのだが、ちょっと困った事になってな・・・」
「困ったこと?」
「うむ・・。これ自体はあったかくって体にもなじむのだが・・少々なじみすぎるというか・・脱げないのだ」
「脱げない?チャックでも噛んじまったのか?」
俺はルキアを後ろに向かせ、首の所にあるチャックを下ろそうとした。
が、ルキアの言う通りびくともしなかった。
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