記念小説

□ハッピーチャッピーイヤー
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*このお話を読む前に、よろしければ『記念小説/「寅・トラ・ネコ!」』をお読み頂いた方が分かりやすくお勧めかと思われます。*




人間って、反省しても結構同じ過ちを繰り返す生き物だよな。


ほら、ダイエットする、絶対もう甘い物は食べない、とか誓っても美味しいお菓子を目の前にしたら「今日だけはいいか」とかあっという間に意志が砕けるなんてよく聞く話しだ。

誘惑に弱いというか、欲望に忠実というか・・・。



そんな人間がここにも一人―――




俺のベッドの上にちょこんとルキアが座っていた。


―――うさぎの格好をして・・・。


「ど、どうしたんだルキア、その格好!?」


白いもふもふのうさ耳が俺の声に反応するようにぴくぴくと動く。・・・そこに意志が通っているように。

俺は、以前これと似たようなモノを見た記憶がある。



「ルキア・・・それって・・・」



俺が言わんとしている事をルキアも察知して、バツが悪そうに視線を逸らしながらボソボソと語り始めた。



「・・・これは、松本副隊長にお年賀としてもらったのだ・・・」


「それじゃあ・・それはやっぱり・・・」



『なりきり着ぐるみゃー』


去年のソウル・ソサエティの忘年会でルキアがビンゴゲームで貰って来た景品。

松本乱菊構想、技術開発室製作というだけで、かなり怪しさ120%なボディースーツは、着た者がその性質を体感できるという代物。効能時間はボディースーツと本人が神経までも同化してしまうので脱ぐ事も敵わない。

去年ルキアが貰って来たのは『虎』だった。ただし、まだ試作品だとかで実際は猫性質だったが・・・。
猫で本当によかったと思う。
お陰で俺は猫ルキアと、意外に楽しい時間を過ごさせてもらったのだから。

俺としてはまた着てほしいぐらいだったが、当のルキアにはかなりの屈辱だったようだ。


それ以来、二度と着てはくれなかった。



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