企画小説
□白華の丘
(三×幸)
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某の成す事とは、政宗殿を迎え撃ちその進撃を食い止める事。
『ぬしと独眼竜の間には、少なからず因縁があると聞き及ぶ。そこでぬしにこれを一任すべきとわれは考えたのだが…』
『確かに、独眼竜・伊達政宗は某にとって唯一無二の好敵手に御座る。この決戦の舞台にて雌雄を決するは、某も望む‥『ふざけるな!たった今、死を受け入れたこの男が戦う事など出来るものかッ!!』
三成殿‥?
『三成、なればこそよ。この男の命、すでに無きものと思えば太閤への義に少しは役立つであろうて。』
『刑部‥』
『案ずるな、すべてはぬしの為よ。』
『………』
正直、お二人の言葉の意は某にはよく分からなかった。
ただはっきりしているのは、政宗殿との決着がこれで着くであろうという事。
…そして、三成殿と徳川殿も‥
ツキン…
ああ、まただ。
この痛みはどうして‥
待ちわびていた政宗殿との真剣勝負‥ なのに、この心は三成殿の…
「幸村様、幸村様!」
名を呼ばれ、我に返る。某は、また‥
「どうした!何かあったのか!?」
「はっ、それが石田殿が幸村様をお探しで‥」
「三成殿が‥?」
………――
‥落ち着かん。
ずっと望んでいた男に、もうすぐ辿り着くからか‥?
いや、それとも違う気がする。これは‥
「やれ三成、柄にもなく緊張か?」
「刑部? ふざけるな、私は緊張などしていない。これは喜びだ。あの男を‥ 家康を、この手でようやく斬滅出来るという喜びに過ぎん。」
「そうよのう。だがな三成、ぬしとわれの付き合いは古い。あまりわれを見くびるな。」
「見くびる?私はそんな事をした覚えは無い!真田の件といい、貴様の方がよっぽど……
刑部‥ まさかわざとッ‥!?」
「ぬしも気付いておろう?その心の内の想いに。」
「何の事だッ!!」
「真田を手負いにし、陣から遠ざけようとしたであろ?」
「そ‥れは…」
「あやつも不器用だが、ぬしも負けず劣らず不器用よなぁ。」
暴かれていく‥
刑部の言葉に、閉じ込めて来たこの想いが。
知っていた
気付いていた
真田に対する、この‥