企画小説

□白華の丘
(三×幸)
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はっきりと自分の心が分からず、迷いの中にあっても時の流れは止まらない。

西に点在する東軍を撃破しながら、東を目指す某達に徳川殿を総大将とする東軍の動きが知らされたのは、それから間もなくだった。




「家康‥ ようやくこの手で、貴様をッ‥!!」




それからの三成殿は、常に狂気を纏っておられた。その様子に同軍の兵士が怯え、大谷殿が諫めなければ単騎乗り込んでしまいそうなほどに。




徳川殿に対する、三成殿の想いの深さを知る。
たとえそれが、怨恨から成るものだとしても‥ ここまで三成殿を突き動かすのは、徳川殿の存在のみ…





「……な田よ。真田よ、聞いておるか?」


「あ!? …すみませぬ、某‥」




今は軍議の最中だというのに、某は何を考えて‥



「真田。」


「三成殿‥」


「雑念があるのならば、この場で捨て去れ。それが出来ぬのなら、今ここで貴様を斬る。」




低い‥ 体温を感じぬ声。三成殿は本気だ。




「…ならば、そうして下され。」


「!」




周りがにわかにざわめく。自分でも、なぜそう返答したのか分からない。

ただ、この場で三成殿に斬られてもいいと思ってしまった。




「そうか、ならば首を晒せ。貴様の望むよう‥「三成。」




大谷殿の言葉が、三成殿の動きを止める。

音も無く漂う彼が、三成殿と某の間に入った。




「三成よ、そう易(やす)く刀を抜くでない。」

「刑部‥ なぜ止める?この男は死を望んだのだ。だから私が、この手でッ‥」


「三成、なぜぬしはこの男に固執する?」


「「!?」」




三成殿が‥
某に…?




「何の事だ? 刑部!貴様といえど、それ以上の戯れ言は死がついてまわると思え!!」


「おお、すまぬすまぬ。われとした事が言葉を誤りおった。」


「誤り‥だと?」


「左様、ぬしが悲願を果たすため、この紅虎にはまだ成してもらわねばならぬ事があるのよ。」


「何?」




某が‥成さねばならぬ事?




「大谷殿、それは一体‥」






………――












政宗殿が…来る。

東軍本隊を離れ、笹尾山山中を進み我等を挟撃せんと‥

 
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