企画小説

□紅の遊戯
(政+三×幸)
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「三成殿‥」


「真田…」







三成殿の指が涙を拭う。それだけの事なのに、心臓がドクドク動きを早めてる。この気持ちは…





ドドドドドドッ!





「?」







馬蹄の音? 段々と近付いて‥?







「あの男か…」


「え?」







呟いた三成殿の顔が、険しさを増してる。お心当たりがあるのだろうか‥







「三な‥「幸村ァッ!!」







知った声に名を呼ばれハッとする。城壁を飛び越え現れた馬の背に跨るのは‥







「政宗…殿!!」







ヒラリと馬を降り、某と三成殿の前に立つ。
まさか政宗殿までお越しになるなんて‥







「Hey幸村!見舞いに来たぜ!」


「あ‥」







政宗殿も… 三成殿と同じく某を心配して?







「政む‥「帰れ。ここは貴様の来る場所ではない。」


「三成殿!?」







すかさず某と政宗殿の間に入る。向けられた背から感じるのは、政宗殿に対する確かな殺気だ…







「石田‥三成か。テメエこそここで何してる?」


「貴様に答える義理など無い。」







大気が震えてる。高まる政宗殿と三成殿の覇気を感じて。







「ずっと前からテメエは気に入らなかったんだ。幸村のそばにチラチラ現れやがって!」


「奇遇だな。私も貴様は好かん。さあ首を晒せ、今この場で斬首してくれるッ!!」


「お待ち下され!政宗殿、三成殿!!」







制止の言葉は届かず、激しい剣劇が繰り広げられる。


悪いのは嘘をついた某なのに‥

政宗殿も三成殿も、某の身を案じて来て下さっただけなのに‥

そうだ…二人が斬り合う事など、ないので御座るよッ!!







「ッ‥ 幸村ッ!?」


「真田!?」







何も考えず、ぶつかり合う技の中に飛び込んだ。どちらも傷付いて欲しくない一心で。







「Shitッ!!」


「くッ‥」







辺りの木の葉が舞い上がる。だけど襲い来る痛みは無くて‥ 二人が技の軌道を逸らして下さったのだと悟った。







「いきなり飛び込んで来る奴があるかッ!!」


「真田、邪魔をするな。」







政宗殿も三成殿も怒っておられる。
二人に睨まれると、足が竦む‥
でも、ちゃんと謝らねば…







「政宗殿、三成殿、申し訳御座いませぬ。先日お届けした書の内容は…全て嘘に御座る。」


「な‥に?」


「嘘‥だと?」


「はい。」







二人は刀を納めると、某の話に耳を傾けてくれた。
同時にお誘いを受けた事、どちらも選べなかった事、軽い気持ちで嘘をついてしまった事‥ 全て話せば沈黙が場を包む。





二人のお気持ちを、踏みにじってしまった。







「幸村!」


「は‥はいッ!」







突然名を呼ばれドキリとする。何を‥言われるのかと…







「病気…じゃねえんだな?」


「…はい。」


「怪我も‥してはいないのか?」


「はい。」











「ならいい。」







………え?

 
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