過去拍手集

□佐+二槍+幸 2月前半
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「いい、旦那。俺様仕事で暫く側を離れるけど、面倒だけは起こさないでよ。」


とても主に対してとは思えない台詞を、佐助は主である幸村に向かって言っていた。


「何度も言わずともわかっている。某は童子ではないぞ!」


親が子に言い聞かせる様な佐助の態度に、幸村はぷぅと頬を膨らませる。


「それはそうなんだけどさ。なーんか旦那ってば問題を起こすというか、引き寄せるというか‥」


佐助としてはもの凄ーく心配なのだが、当の本人にはまるで自覚がない。




それというのも、幸村に問題が降りかかるまえに佐助がせっせと解決しているからなのだが…


「案ずるな。佐助こそ、しっかり使命を果たすのだぞ。」


何も知らず笑顔を向けてくる幸村に、佐助も軽く笑顔で返す。


「何かあっても、絶対一人で無茶はしないでよね。忍隊にも言ってはあるから…」

「ああ。」

「じゃ、俺様はそろそろ行くよ。」


念を押し、佐助はスッとその場から姿を消した。


『ああそれから、俺様の天井裏には入っちゃだめだからね‥』


姿はないが、風に乗り佐助の声は幸村に届いた。





「分かっておるーッ!!」

いつまでも子供扱いな事に幸村は叫んで返すが、佐助の声が届く事はもうなかった。



………ー――



庭を散歩しながら、幸村は思う。


「だいたい佐助は心配し過ぎなのだ。某とて、自分の事は自分で出来るというものを…」


ブツブツ言いながら歩き、池の前で幸村は足を止めた。


「佐助が世話好き過ぎなのだ。そうであろう?」


池の鯉に同意を求めるが通じるはずもなく、鯉はただ口をパクパクさせているだけ…


「…しかし、その佐助にいつも助けられているのだがな…」




フッと笑みを浮かべ、幸村は空を見上げた。



………ー―



「はっはっ、たあッ!!」


物足りなさを感じながらも、幸村は一人槍を振るっていた。
居ればいつもは佐助相手に稽古をしているのだが、今日は一人… いまいち気が入らない。


「この様な事では駄目だ!」


ブンブンと頭を振り、目を閉じて幸村は精神を集中させる。


もっと熱く‥
もっと強く…


紅い覇気を纏い、幸村はカッと目を開いた。


「うおぉぉりゃああぁぁッ!!」


空気が震えるほどの雄叫びをあげ、幸村は二槍を思い切り振り抜いた。

ゴオオォッと熱風が巻き起こり、辺りは嵐が去った後のように木の葉が散らばっている。


「ふぅ‥」と一息つく幸村だが、何かがおかしいと気付く。
だが何がおかしいのか分からず首を傾げていれば、城の方から騒がしく声が聞こえてきた。
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