過去拍手集

□蘭VS政×幸? 11月後半
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「おーい幸村ぁ。ねえ待ってよ―!」



安土城で魔王・織田信長との戦いに勝利した幸村たちは、甲斐で待つ武田信玄の元へ帰路の道を進んでいた。そんな幸村達を呼び止める子供の声…



「何で御座ろ…んぐッ!」



幸村は声の方へ振り返ろうとしたが、蒼い陣羽織を纏う人物に阻止されてしまった。その人は共に魔王を討ち果たした伊達政宗であった。



「んんッ ん―ッん―。」(政宗殿、何で御座るか)

「馬っ鹿幸村。あんな餓鬼見るんじゃねぇ。無視だ無視。」



政宗は幸村の口を押さえたまま言い聞かせる。



(何故?)



そう不思議に思った幸村だったが、とりあえず今はコクコクと頷き政宗の言うとおりにした。が、



「蘭丸は、餓鬼じゃないッ!!」

「うぉ!?」



声と共に空から子供が降ってきた。幸村の目の前…そう、政宗の頭の上に。



「そ、そなたは確か織田の…」

「ヒドいよ幸村! 蘭丸が一生懸命呼んでるのに、置いてくなんて…」



ウルウルと瞳を潤ませれる蘭丸を見れば、幸村は自分が悪者のように思え罪悪感が芽生えてくる。



「も‥申し訳ない。そんなつもりは…」

「おい…」

「蘭丸…一人ぼっちになっちゃって寂しかったんだよ?」

「おい…」

「すまぬ…」

「おいッて聞いてんのかこの餓鬼! いつまで人の頭に乗っていやがる!!」



オラッと政宗は蘭丸を吹っ飛ばした。蘭丸にとっては大した事ではないが、バランスを崩したフリをして幸村に抱きついた。



「いきなり何するんだよ! 危ないだろ蒼いの!」

「蒼ッ!? ぶった斬られてぇのか? この餓鬼!!」



政宗の啖呵も蘭丸にはなんて事なかったが、ちょっと怯えたフリをして幸村に強くしがみつく。



「うぅ幸村ぁ‥アイツ怖いよぉ。」



ギュッと自分の手を握ってくる蘭丸を幸村は咄嗟に庇う。



「政宗殿! 年端もいかぬ子供に何と申されるか!」

「What!? 俺が悪者かよ!?だいたいそいつは只の餓鬼じゃねぇ… 本能寺じゃ俺達に仕掛けてきたじゃねえか。」

「それは…そうで御座るが…。」



幸村はじいっと蘭丸を見る。蘭丸も幸村を見つめ返し、涙声で訴える。



「だって、蘭丸はああするしかなかったんだ… 戦わなきゃ…戦わなきゃ蘭丸は…」



うぅ…と幸村に抱き付いたまま泣き始めた。



「蘭丸殿! もう大丈夫で御座る! 大丈夫で御座るよ!!」



そう言って幸村は蘭丸を強く抱き締めた。



「なッ!?」

 
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