過去拍手集

□親×幸 10月後半
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深い意味なんて無かったただ少しの好奇心。
同じ『鬼』の異名を持つ者…少し興味が湧いただけ…

『鬼』と呼ばれるくらいだ。屈強な男なんだろう…と勝手に思い込んでいたのは自分だが…








(コイツが真田幸村!?)








四国よりはるばる上田までやって来て漸く目的の人物に辿り着いたのだが、その姿に納得がいかなかった。
確かに紅装束に身を包み、二槍を構え此方をジッと睨む姿は聞いていた真田幸村の特徴そのもの。
…が自分より頭一つ分程小さい身の丈、武将と呼ぶには細い腰つき、幼い顔立ち…








(これのどこが鬼なんだか…)








元親は落胆した様子を隠しもせず盛大にため息をついた。
その様子を見ていた幸村は元親の態度に少なからず怒りを感じた。








「某は、真田源次郎幸村っ! 長曾我部元親殿とお見受けするが、ここ上田に何用かっ!」








幸村は槍を持つ手に力を入れ、更に強く元親を睨んだ。








「いかにも、俺は長曾我部元親だ。いやな、甲斐の国に『紅蓮の鬼』なんて大それた名を持つ奴が居ると聞いて来てみたんだが…どうやら甲斐ではガキの事を鬼って呼ぶみてぇだな」


「な、どういう意味か!?」


「なぁにそのまんまさ、紅い服着たガキ…だから『紅蓮の鬼』何だろ? 他にも青とか黄とか…」








そこまで聞けば、幸村も何を言われたか理解するもの。そして同時に怒りが頂点に達した。








「おのれ!某を愚弄するか!長曾我部っっ!! ならば我が槍、その身を持って受けるがいい!!」








そう叫ぶやいなや、幸村は元親に飛びかかった。元親は二槍の攻撃を碇槍でかわしながら言葉を続けた。








「短気な所はやっぱりガキだなっと。怒りに任せての戦いは周りが見えなくなるだけだぜ?」


「黙れっ!貴殿にとやかく言われる筋合いは無いっ!!」


「まぁ、それもそうだな。」








未だ幸村は攻撃の手を休めはしないが、元親は受けているだけで反撃はしていない。この状況を楽しんでいるのだ。








(真田幸村…只のガキかと思ったが、なかなか面白れぇ奴だ。)








つい、くくっと笑ってしまった。








「何がおかしいっ!」


「いや、あまりにも必死なあんたの顔が可愛くてな」








可愛いは言い過ぎかもしれないが、感情豊かな表情に見入っていたのは事実。








「なっ!?」

(か、可愛い!? そ、某が!?)








幸村は、元親の思いもよらない言葉にカアァと顔を赤くし動揺していた。

 
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